著者:石田 麻琴

事業戦略を展開していく上での、本当の「失敗」とは何か・・?【no.0618】

 ビジネスというものは、自分が思ったとおりには、なかなかうまくいかないものです。

 「成功」や「失敗」という言葉が適切なのかわかりませんが、自分が期待したとおりの成果が出れば「成功」、期待したとおりの成果がでなければ「失敗」というのだと思います。

 たまーに、一発目の事業を立ち上げて、その初月から売上が出て、黒字化して、そのまま順調に拡大をしていくという「大成功」を実現する会社があります。しかし、そんな会社はごくごくひと握りです。実力もあるのでしょうが、運が大きく味方をしているのは間違いありません。ほとんどの会社は、試行錯誤を繰り返しながら、「大成功」への道を歩んでいきます。

 戦略には「大成功」「成功」「失敗」「大失敗」の4つがあると思います。実際には「失敗→失敗→成功→失敗→成功→失敗→失敗→成功→大成功」というように、「失敗」と「成功」を繰り返していきながら、「大成功」に向かっていくのです。やっちゃいけないのは「大失敗」です。一度でも「大失敗」を起こしてしまうと、事業自体が終了してしまう可能性があります。

 「成功」と「失敗」の定義を、以下の4つに分類してみました。

*売上実績があがり、ノウハウも蓄積された。

 事業を試行錯誤した結果、売上の伸びが軌道にのり、尚且つ、自社に「数字が上がっている要因は何か。どうすれば売上があがるのか」のノウハウも蓄積されていく。これはもちろん「成功」に入るでしょう。「大成功」と言っても良いかもしれません。事業を継続すればするほど、新しいノウハウが蓄積され、市場での価値が上がり、売上が伸び続けていく、ということになります。

*売上実績はあがらなかったが、ノウハウが蓄積された。

 願わくば売上も伸びて欲しいところではあるものの、それほど売上が伸びなかった(もしくは伸びていない)。しかし事業を進めていく過程での「あれがマズかったね」「先にこうしておいた方が良かったね」「でも、このアクションは良かったよね」というノウハウを残すことはできた。これも「成功」の部類に入れても良いのではないかと思います。「思ったよりうまくいかない」は付きものです。原因と結果の相関性が少しでも見えれば、次に繋げることができます。

*売上実績があがったが、ノウハウが蓄積されなかった。

 一見すると「売上が上がってるんだからいいじゃん!」という感じですが、この手のパターンは時間とともにいずれ落ち込みます。売上があがった「原因」がわからないということは、「再現性がない」ということです。自らのつくった要因が結果に繋がっているのか、もしくは市場にうまくはまったからなのか、もしくは競合他社がチョンボをやってしまったからなのか。ノウハウが蓄積されていない場合は、市場環境の変わったときに、その変化に対応することができません。これは「成功」と言えばいいのか、「失敗」と言えばいいのか、微妙なところです。(でも数字が出てるなら「成功」なのかなぁ・・)

*売上実績があがらず、ノウハウも蓄積されなかった。

 これが最悪のパターンです。事業を立ち上げる&継続するために支払った、「お金と時間」、そして人を巻き込んだ「信用」など、様々な資産を無駄にしてしまう結果です。何から何まで外注にお願いしていると、このパターンにはまります。外注にお金を払った、外注の提案を検討した、しかし結果が出なかった。ここには自社の試行錯誤がありませんから、ノウハウは残りません。「失敗」といって良いでしょう。もしも、実力に見合わないギャンブル性の高い投資をした場合は、「大失敗」で全て終了、という可能性もなきにしもあらずです。

 やはり、一打席目からホームラン、ということはありませんから、「ノウハウが残る」空振りや、「ノウハウが残る」内野ゴロ・外野フライを繰り返していきたいところですね。それを継続していれば、必ずいつかは結果にありつけます。

 おわり。