著者:石田 麻琴

おにぎり水産ネットショップが対象にするのは、果たしてどんなお客様?【no.0531】

 さて、土曜日なのでまとめをご紹介します。

 前回に引き続き、ネットショップのあるあるシリーズ「鬼切社長シリーズ」をまとめていきます。二子(にこ)社長との「ネットショップ運営経費」についての打ち合わせを終えた鬼切社長の元に、猪井氏(いいし)先生がやってきます。猪井氏先生は鬼切社長に、「年商売上1億円。利益2,000万円」が達成できそうかを問いただしました。

第五十七話 「コストを抑えてスタートして、数字が見えてきたら本腰を」は本当に可能なのか?【no.0403】
http://www.ecmj.co.jp/?p=4676

 これまでは「売上が上がったら」「黒字化したら」ネットショップの専任の担当者をつけようと考えていた鬼切社長ですが、人財への投資は「必要経費」であるということに気づきます。それは、「売上が上がったら」「黒字化したら」専任を充てるのでは、そもそも「永遠に売上が上がり、黒字化することはない」ということです。世の中には、インターネット専業でネットショップを営んでいる事業者がたくさんいるのです。

第五十八話 ネットショップで利益を出すための秘伝の「裏ワザ」とは?【no.0406】
http://www.ecmj.co.jp/?p=4682

 物流費を圧縮することで20%の利益率を確保しようと考えていた鬼切社長に、猪井氏先生が「物流費率だけではなく商品原価率も下がる」秘策を伝えます。それは、商品の「販売価格を上げる」ということでした。一発で成果がでる「裏ワザ」を期待していた鬼切社長は、ひどく落胆しました。落ち込む鬼切社長に、猪井氏先生は販売価格を上げた状態での運営経費を計算させます。

第五十九話 価格を5倍にしただけで、なんと簡単に利益率が改善。【no.0411】
http://www.ecmj.co.jp/?p=4708

 猪井氏先生が提案したのは、現状1セット1,000円で販売しているおにぎり水産の笹かまぼこを、1セット5,000円で売るという方法でした。それを実現することができれば、物流費率も商品原価率も大きく下がります。目標の利益率20%どころか、利益率40%も夢ではありません。鬼切社長はショッピングモールに出店することを前提として経費を組みましたが、猪井氏先生は「自社サイトでいこか」という提案をしました。

第六十話 おにぎり水産のことを知ったお客様ならショッピングモールに流す必要はありません。【no.0413】
http://www.ecmj.co.jp/?p=4833

 猪井氏先生が「自社サイトでいこか」と言った理由は、以前の打ち合わせで話した「おにぎり水産ネットショップの方向性」にありました。鬼切社長はそのとき何を決めたかを覚えていませんでしたが、猪井氏先生はしっかりと覚えていました。「おにぎり水産のネットショップは『工場併設の実店舗を利用したお客さんが自宅に帰って、もう一度笹かまぼこを食べたくなったときに来てもらえるネットショップ』を目指す」。これが「おにぎり水産ネットショップの方向性」でした。

第六十一話 『実店舗にきてくれたお客さんにネットショップでも買ってもらう』ため試行錯誤する。【no.0417】
http://www.ecmj.co.jp/?p=4841

 おにぎり水産のネットショップは、「工場併設の実店舗を利用してくれたお客様を対象にする」。つまり、「すでにおにぎり水産のことを知っている」人を対象にすることになるため、「自社サイトから始めるのが良い」。それが猪井氏先生の意見でした。もちろん、インターネットを回遊している中で偶然おにぎり水産のネットショップを知り、商品を購入してくれる人はいる。しかし、そのようなお客様は「成果の対象ではない」ということです。まずは、「実店舗にきてくれたお客様に、またネットショップでも買ってもらう」ため、徹底して試行錯誤していくことが大切だと猪井氏先生は説きました。

第六十二話 時間をかけて育てれば、やがて大きな花が咲き、甘い果実が生る。【no.0420】
http://www.ecmj.co.jp/?p=4880

 笹かまぼこの販売価格を上げる方向にすること。そして、おにぎり水産のネットショップは「実店舗にきたお客様」だけを対象にすること。これは猪井氏先生にとってもチャレンジです。なぜ猪井氏先生は鬼切社長にそこまで「絞った」提案をするのか、それは「いまおにぎり水産が水産加工業者として、きちんと利益を出しているから」でした。おにぎり水産は、今インターネットから「売上が欲しい」会社ではありません。だからこそ、時間をかけて事業を育てていく選択を鬼切社長に伝えたのでした。

 「鬼切シリーズまとめ」つづく。