著者:石田 麻琴

「需要>供給」「需要=供給」「需要<供給」となり、成熟期が訪れる【no.0481】

 事業成長のセオリー。

(前回はこちら

残念ながら、成長期は永遠に続きません。いずれ成熟期がやってきます。

なぜ成熟期が来るのか。簡単に言えば市場が、「需要」と「供給」が「需要>供給」から「需要=供給」となり、「需要<供給」となるのです。「売りたい人より買いたい人」の多い時代から、「買いたい人より売りたい人」の方が多い時代へと、知らぬ間に移り変わっていきます。

成長期から成熟期への変化は、日を追うごとに加速をしていきます。

その理由のひとつは、お客様の数は有限だからです。

原理原則から考えれば、欲しいお客様全員にサービスがいきわたった時点で、市場が飽和することになります。インターネットの登場により、需要側におけるサービスの鮮度もどんどん短くなっています。

 もうひとつは、技術が標準化してくことにあります。

サービスは日々進化していきます。特に、需要が強いサービスならなおさらです。ゴールドラッシュの時代に、土を掘るためのシャベルが売れ、進化をしていったように、サービスソリューションが進化し、「誰でも容易に」サービスを提供できる仕組みが、ボコボコ現れていきます。今度は、供給側が一気に膨らんでいくわけです。

こうなると、成長期に需要が一気に増えた時点をピークにして、あとは供給が需要を食っていくだけの状態になります。供給は日に日に増えていきます。知らず知らずのうちに、「需要>供給」「需要=供給」「需要<供給」へと、オセロのように、スパンとひっくり返っていきます。私も、ネットショップの運営者時代、2009年にこれを経験しました。その話はまたいつか詳しく。

最初は「あれ?」という感じです。いままで効果があった施策が通用しなくなります。お客様が反応をしてくれなくなります。「需要<供給」の状態への変化に気づくのは、実際に「需要<供給」の時代(つまり成熟期)に入った後です。経営者、現場の人間がそれに気づくのに、半年から1年を要すこともあります。

とはいえ、成長期に伸ばしてきた会社を維持しなくてはいけません。サービスを売り続けなければいけません。わずかに残された新規顧客の獲得合戦です。有効な広告枠の取り合いになります。サービス合戦が起こります。レイトマジョリティ(多くの場合、情報弱者)を追い求めて地方での営業に入ります。そして、価格競争です。こうなると、体力のある会社が圧倒的に有利になります。成熟期は資本力が勝負です。

ここにきて、やっと気づきます。自社のサービスはこんなにも差別性がなかったのか、と。売れていたのは、サービスに商品力があったからではなく、市場が成長期にあったからだということに気づくのです。バンバン売上を取るために、サービスをパッケージ化していたことが逆に仇となります。効率化、仕組化に注力しすぎていたために、ムダをそぎ落とし「たくさんのお客様が楽しめる」サービスになっていたため、成熟期には逆に「誰もが選ばない」サービスになってしまうのです。

企業として資本力、人財力、体力があれば、サービスの方向性を変え「大資本に寄らない」方向に変えていくことが可能です。しかし、多くの場合は、経営者はわかっていても、その転換を図ることができません。ごく一部のスタッフを除いて、「そんなことをいきなり言われても困る」のです。まさしく「人を動かす」ことの難しさということでしょうね。

成熟期に続いて衰退期、そして次のカーブ、ということになるのですが、Eコマースの世界はまだ成熟期の途中であり、今後どんな状況になるかが見えません。このブログはひとまずここで止めておきたいと思います。ご清聴ありがとうございました。

ひとまず、おわり。

1コメント

  1. 需要が伸び、パッケージ化され、代理店や小売店が売りまくる。そんな成長期【no.0474】 | ECマーケティング人財育成 | ネットショップ事業と人材を共に育てる。

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