不器用な人間なので、たくさんの人の話を聞くことができません。
様々な場に参加し、様々な方の意見を聞き、様々な本を読み、自分の肥やしにされる方がいます。勉強熱心なのは大変結構なことだと思いますが、たくさんの情報の中から、いまの自分に合っていて、かつ有益な情報を取り込むのは、そう簡単ではないと思います。
一部の、ある特定の器用な人間はそれが可能だと思います。しかし、大部分の「普通の」人間には、たくさんの情報を選別し、現在の自分にマッチするカタチに消化するのは、並大抵のことではないと思うのです。私みたいな不器用な人間には、まず無理なことです。
そこでまずは、「この人だ!!」と思う1人の人間の意見を徹底に聞くことから、スタートするのが良いと思っています。たくさんの情報を選別できるなら、それに越したことはありません。しかし、情報を選別するためのはっきりとした「軸」が自分の中になければ、有益な情報や、いまの自分に合う情報を見逃してしまうのではないでしょうか。
「この人だ!!」と思う1人の意見を徹底的に聞く。あの課題、この課題、その課題について、どう考えるかを徹底的に聞く。そして、いまの自分に合っていると思うものは取り入れ、実践してみる。それができるようになってから、意見を聞く人数を2人3人と増やしていき、最終的にたくさんの情報を自分の「軸」に沿って選別できるようになれば良いと思うのです。
賛否両論のある言い方をすれば、自分の中に「軸」がなければ、たくさんの情報を取り入れるのは無駄となります。それは「情報に飲まれている」ということです。情報の発信源が多いほど、ひとつの発信源を軽視しがちになります。「これ!!」という1つの発信源を決めれば、そこから目を離さず、清濁を飲み込むことができるのではないでしょうか。
1人の人の話を徹底的に聞くということは、「情報から逃げない」ということでもあります。ある種の心中です。そこまで徹底するからこそ、自分に「軸」ができてくるのだと思います。一般的な言い方をするならば、「メンター」と呼ばれる人です。この「メンター」を決めるのは、自分の中での「決め」にしかありません。もしくは、自分にとって「本当に信用できる人」の薦める人が良いと思います。
自分の仕事の話に絡めて恐縮ですが、複数のコンサルタントから意見を聞いている経営者は結果が出にくいです。コンサルタントは、自社のポリシーやコンセプト、経験則に沿ってアドバイスをします。各々のコンサルタントが本質的には同じことを言っていたとしても、経営者には別の意見に聞こえることがあります。「あっちのコンサルタントはこう言っていた」「こっちのコンサルタントはこう言っている」では、話が進まないのです。
ネットショップの競合分析も同じです。複数のネットショップをベンチマークして、それぞれの良い部分を自社に活かしたいと考えがちですが、数を増やせば増やすほど1つのネットショップを見る力は弱くなります。それでも販促企画やメールマガジンなど、表の部分をチェックすることはできますが、「ネットショップ運営の流れ」という裏の部分を読み取ることはできません。本当の競合分析とは、ネットショップ運営の流れから、経営の裏側を読み取ることです。「◎◎というキャンペーンをやっている」とか「メールマガジンの内容が面白い」とか、そういうことではないのです。
様々な場に参加し、様々な方の意見を聞き、様々な本を読んでいる。しかし、その大量のインプットが自分のアウトプットに消化されていない。たくさんのネットショップを競合分析しているが、ネットショップ運営の表の部分しか把握できていない。そんな方は、1人の意見を徹底的に聞く、1つのネットショップを徹底的に見るところから始めてみませんか。継続することで必ず良い気づきがあるはずです。
おわり。
[…] ・1人の意見を徹底的に聞く、1つのネットショップを徹底的に見る【no.0389】 http://www.ecmj.co.jp/?p=4586 […]