著者:石田 麻琴

ルールを徹底して、問題の本質に切り込む。【no.0299】

 先日、数か月前に弊社のECMJセミナーに参加された方にお会いしました。

 お会いするなり、ノートパソコンを取り出して、「石田さん、これを見てくださいよ」と、ネットショップの管理エクセルを見せてくれました。それは、いつもECMJセミナーで紹介している数値管理表に、その方なりの手が加えられたものでした。あの90分ほどのセミナーで伝えたことを、きちんと実践されているのがわかり、嬉しくなりました。

 また、その方はもうひとつの管理エクセルを見せてくれました。お客様のレビューを集めたエクセルです。こちらも、ECMJセミナーで伝えた数値管理表を参考にして、日々お客様からいただいている店舗レビュー・商品レビューを毎日リアルタイムで確認する仕組みを作られたとのことでした。数値管理表を実践されているだけではなく、レビュー管理表という形でノウハウを応用してくれていたのです。もっと嬉しくなりました。「絶対に売上あがりますよ」と、自信を持ってお伝えしておきました。

 聞いた感じだと、これまでも、数字の管理と施策の整理は定期的に行ってきましたが、毎日のルーチンとして確認をしていたわけではなかったそうです。それを、毎日の管理に変えられました。レビューの管理については、不定期に行っていたようですが、こちらも毎日の管理に変えたということです。特にインターネットビジネスの場合、毎日(リアルタイムに)日々のデータを確認することができるので、毎日管理の仕組みを習慣化できれば、とてつもない力になります。

 加えて、不定期に数字やレビューを管理するよりも、定期的に管理する方がはるかに「ラク」でもあります。ルール化を徹底してあれば、「いつデータを見ればいいか」「いつレビューを見ればいいか」と、いちいち考えなくて良いのです。ただ、決められた通りに流れていけば、自然に情報が入ってきます。これが、環境を作るということです。環境が習慣を変え、習慣が行動を変え、行動が成果を変えていくわけです。

 不定期ということは、「いつやっても良い」ということです。逆にいえば、「やらなくても良い」ということでもあります。「いつかやれば良い」ということは「今やらなくても良い」というわけです。定期的に管理をすると、「ラク」である反面「選択」する余地がなくなります。でも、それで良いのです。なぜなら、数字を管理することは目的ではなく、手段だからです。あくまで、数字やレビューを管理して、「さあ、この情報を元に、これからどうしましょうか?」という話なのです。

 営業をする際も、同じようなことが言えます。例えば、飛び込み営業、チラシ配り、アポ電も一緒です。ここでの原則は、「最初に目についた人に必ず営業をする」ことです。いざ、営業をしようと思ったときに、最初に目についた1人目に対して「声をかけるべきか否か」から考えると、2人目以降も「人を選び続ける」ことになります。当然、確率が高そうな人を見分けられるくらい経験を積んだ後なら別ですが、それもわからないうちから自分の想像だけで選択をしてしまっては、結局「いつかやれば良い」になってしまうだけです。

 数字の管理でも、レビューの管理でも、営業を行う場合でも、一定のルールを持つことで、実践がよりシンプルになり、本来使うべきところに頭を伝えるようになります。それ自体は目的ではなく、あくまで手段のひとつです。「さあ、これからどうしましょうか?」にもっともっと頭を使えるようにするために、どんな条件を徹底するかを考えてみるのが良いかもしれません。そうしないと、問題の本質に到達する前に疲れ切っちゃうんじゃないでしょうか。

 おわり。