著者:石田 麻琴

「結果」を押さえるところからマーケティングは始まる。【no.0288】

 ネットショップの規模別の課題「月商300万円」のフェイズ。(前回はこちら

 前回のエントリーでは、月商300万円のフェイズの課題として、インターネット上での販売チャネルの拡大である多店舗展開についてお話ししました。バックヤードの仕組み化、そして在庫の一元管理の体制があってから、多店舗展開にチャレンジするのが理想です、というエントリーでした。多店舗展開に挑戦するには、各々の販売チャネルをマーケティングする担当者が必要になります。ということで、月商300万円のフェイズの最後の課題は、人財育成です。

 Eコマースの事業責任者、ネットショップの店長が、ひとりで自社サイトとショッピングモール(楽天市場、Yahoo!ショッピング、Amazonなど)の各々のマーケティングをするのは無理があります。各販売チャネルは、そのウェブサイトの内部の導線も外部のプロモーションも日々変化しています。ひとりでそれを全て追っていこうとすると、結果として全てが中途半端になってしまいます。販売チャネルひとつにつき、ひとりの担当者を置くのが理想です。もちろん、最初はウェブ制作との兼務、カスタマーサポートとの兼務でも構いません。「あなたはこのチャネルを日々ウォッチしてください」というのを決めるのが大切です。

 さて、各販売チャネルの担当者はどうやってマーケティングをしていけばいいでしょうか。販売チャネルの販促企画・キャンペーンのスケジュールを押さえること、検索結果(検索エンジン)の傾向を押さえること、ソーシャルメディアからの導線づくり、などなどウォッチするポイントは様々あるかと思います。しかし、その「どこがどうなっているか、何をするか」を考える前に、まず最初にやること、それは日々の数字をチェックすることです。

 売上、アクセス人数、ページビュー(PV)、コンバージョン(CVR/転換率)などの数字は、外部環境の変化、そして内部での施策を行ったことによって表れるものです。つまり「なんらかの原因が起こったことに対する『結果』」ということになります。各販売チャネルをマーケティングしていく上で、まず押さえるのは、この「結果」の部分です。どうしても先に、「この導線が強そうだ」とか「この検索ワードだと上位に表示される」とか「原因」を考えたくなってしまうのですが、インターネットでのマーケティングで成功するためには「結果」を押さえることから始めてください。

 数字をチェックするのは、習慣です。1日や2日、1か月や2か月、数字をチェックし続けても、いい「原因」にはたどりつけません。毎日、ずっと数字のチェックを続けるからこそ、いい「原因」に近づいていくことができるのです。まずは、「数字をチェックする癖をつける」こと。その次に「日々変化する数字に疑問を持つ」こと。そして、「数字を分解して、どの数字がより動いているかを深堀りする」こと。最後に、「なぜその数字になったのかを予測する」こと。これを日々行っていきます。

 「なぜその数字になったのかを予測する」こと。これこそ「結果」に繋がる「原因」を探すための第一歩です。くどいように何度も書きますが、「なんでそうなったか」がわかれば「どうすればそうなるか」の予測がつけやすくなります。10コの施策を行い、数字に変化をもたらした5コを残す。そして、より良いと思われる5コを加え、また10コの施策を行う。これを繰り返していけば、「今」数字に変化をもたらすことしか自然に残らなくなるはずです。

 そして、これがインターネットビジネスの面白いところなのですが、この思考を社内で徹底させられるようになると、Eコマース事業だけではなく、人財も一緒に成長していきます。なぜなら・・答えはもう書いてあります。数字の変化のさせ方が自分自身でわかるようになるからです。月商300万円のフェイズでは完璧でなくても良いと思いますが、Eコマースを事業の柱のひとつに育てるのならば、徐々にでも人財育成をスタートさせていきたいところです。

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