著者:石田 麻琴

変化をし続ければ、最悪でも「効果ナシ」だけ。【no.0284】

 先日、大宮で講演をしたときに、私の話に興味を持ってくれた方がいて、その後、ゆっくり時間を取って情報交換・意見交換をさせてもらったんですね。

 その方は、コンビニエンスストアの経営をされていた方で、コンビニで売上を立てるために、日々やっていた改善活動について、いろいろと教えてくれました。コンビニエンスストアを出店するとき、フランチャイズ用の研修合宿と運営マニュアル、データ分析・仕入れ等で使うシステムが支給されるようなのですが、そこからいかにして運用改善を進め、売上をあげていくかは、やっぱり自分次第だという話でした。当然、コンビニを出店してマニュアルどおりの運営をするだけの人もいれば、お客様の傾向を見ながら毎日毎日店舗をいじっていく人もいる。それは、コンビニというリアルの実店舗でも、ネットショップでも同じですよねー、という話です。

 当然、私が話した方は、後者の「毎日店舗をいじくる」タイプの人です。例えば、スパゲティのペペロンチーノを右に置いて、ボロネーズを左に置く、逆に、ペペロンチーノを左に置いて、ボロネーズを右に置いたらどうなるのか、とか、商品の陳列を2列にするのか3列にするのか、とか、同じシリーズのインスタントラーメンを並べて置く方がいいのか、少し離して置く方がいいのか、それを1段目に置くのがいいのか、2段目なのか、3段目なのか、毎日毎日、少しずつ店舗をいじくっていたというのです。それで、すごく面白かったのが、「石田さん、コンビニって、いじればいじるほど売上が上がるんですよ」というひと言でした。

 面白いですよね。だって、「いじる」ことって誰でもできることじゃないですか。マニュアルどおりの運営をするだけの人でも、「こうやったらいいんじゃないかなぁ~」って店舗を「いじる」ことはできるわけじゃないですか。ということは、本質的には「誰でも売上をあげることはできるんだよ」ということでもあるわけです。これが、「昨日は20個売れたおにぎりを今日は40個売るぞ」とか、明確に数字を追うことを考えると簡単にはいかないんでしょうが、「こうやったらいいんじゃないかなぁ~」を「し続ける」ことだけでも結果に繋がっていくんだよ、ということなんじゃないかと思います。

 じゃあ、なぜ、「いじればいじるほど売上が上がる」かです。基本的に、「いじる」という行為は、「お客様に買ってもらえないようにしよー」とか「お客様から見つけづらくしよー」とか「お客様を不快にさせよー」とか、マイナスの思考から生まれる行動ではないですよね。「お客様にもっと買ってもらおー」とか「お客様にもっと楽しんでもらおー」とか「お客様に薦めてみよー」とか、プラスの思考から生まれる行動なわけです。プラスの思考から生まれた行動は、2つの結果しか生みません。「プラスの成果」か「何も起こらない」か、この2つだけです。ここには、「マイナスの成果」というのは生まれません。なぜなら、プラスの思考から生まれた行動だからです。

 これが「いじればいじるほど売上が上がる」理由です。プラスの思考がある限り、マイナスの成果はないわけです。あったとしても、効果があったか、効果がなかったか、的に当たったか、的を外したか、だけ。実店舗、ネットショップに関わらず、商売を成功させるために「変化させ続ける」というのはやはり重要な要素です。変化を続けていれば、必ずどこかで「当たり」がきます。逆に、全く何もしなければ、世の中の移り変わりの分だけ、退化することになるのです。実店舗もネットショップも変わらず、まず前提として「いじる」ことが大切です。チャレンジの結果にマイナスはなく、最悪でも「効果ナシ」だけ。下がるものがあるとすれば、「効果ナシ」のときの「自分のテンション」だけということですね。

 おわり。