著者:石田 麻琴

メールマガジンを送って、リピートしてもらおう。【no.0226】

 ネットショップのあるあるストーリー、その壱つづき。(前回はこちら

 担当者の提案に思わず電話を切ってしまった鬼切社長でしたが、冷たい麦茶をグビッと一杯飲み、腰を落ち着かせると、確かに今までの自分はショッピングモールの担当者まかせ、担当者が提案するインターネット広告まかせだった気がしてきました。「ネットショップを運営する」という概念がなかったことに気付きました。鬼切社長は、急いで担当者に電話をかけました。

「担当はん、さっきは申し訳なかった。また新しい金がかかる提案かと思うて、とっさに電話を切ってしもうた。申し訳ないことしたなぁ。そんで、さっき言ってたネットショップの運営講座の件やけど、うちの事務の静子さんでも大丈夫かな。パソコン、そこまで得意なわけじゃないんだけども」

 鬼切社長は担当者に気を遣いつつ話しました。

「いえいえ、鬼切社長の気持ちもわかります。ただ、私の伝えたいこともわかっていただけたはずです。ネットショップ担当の事務の静子さんで大丈夫だと思います。運営講座に来られる方は、パソコンが特段に得意な方ばかりではありません。初歩からお教えするので、ご心配なさらないでください。みなさんそうやって成功されています

 鬼切社長は事務の静子さんを、ネットショップ予備校のネットショップ運営講座初級編合宿コース(3日間20万円)に向かわせました。3日間の合宿から帰ってきた静子さんは、(合宿所が九十九里だったので)少し日焼けをしていたこともあり、鬼切社長には「ネットショップ担当ウーマン」としてより一層頼もしく見えました。これで、わが社にも正式なネットショップ事業部がスタートできるぞ。鬼切社長は社内のトイレでひとりほくそ笑んでいました。

 合宿から帰ってきた静子さんがバックから取り出したのは、大量のテキストでした。ネットショップの運営に関わる資料の数々です。「えーと、講座ではこのテキストの第一章から順番に勉強していったんですよね。懇親会で講座の先生に相談したら、まずはメールマガジンを流してみれば、とアドバイスをもらいました。メールマガジンは第三章ですね」。静子さんは鬼切社長に解説をしながら、作業を進めていきます。

 グルメ特大号、母の日広告、父の日広告と3つのインターネット広告を出稿したおかげで、おにぎり水産のネットショップには、広告からの実売によるお客様2,300人、ランキングから購入したお客様700人の合計3,000人のメールアドレスが保有されていました。この3,000人に対してメールマガジンを送り、笹かまぼこをリピート購入してもらおうというわけです。

 おにぎり水産ネットショップが発行する初めてのメールマガジンなので、講座の資料にあるテンプレートを活かしながらメールマガジンを書いていきます。

「●●様

東北宮城の笹かまぼこ屋さんおにぎり水産の店長・静子と申します。

先日は当店の商品をご購入いただき、誠にありがとうございました。
美味しくお食べいただけましたでしょうか?

・・・                             」

 少し文章が堅苦しいかと思いましたが、初めてのメールマガジンなので丁寧に誠実にを心掛けて書き上げました。美味しく笹かまぼこを食べるためのポイントや、静子さんが実際に作っている笹かまぼこを使った料理レシピを載せた充実した内容のメールマガジンです。鬼切社長、静子さんだけでなく、数人の社内のスタッフに読んでもらいましたが「面白い」「笹かまぼこを食べたくなった」などの意見が返ってきました。自信を持ってお客様にメールをお送りすることができます。

 講座で学んだとおり、お父さんお母さんが自宅でゆっくりパソコンを楽しんでいると思われる時間帯「日曜の21時」にメールマガジンの送信の予約をしました。あとは注文を待つばかりです。注文後すぐに商品を発送するため、笹かまぼこセットの在庫を用意してその時を待ちます。そして、日曜の21時にメールマガジンは流れ、月曜の朝、鬼切社長は誰よりも早く出勤し、パソコンを開くと‥。

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