著者:石田 麻琴

お客様は「どうサービスを探すのか」をイメージする【no.2114】

 先日、役員をつとめている勉強会で、講演の総評をする機会がありました。議題は「大型施設からの注文をWEBサイトでいかに獲得するか」。会員企業からの事例発表と、参加者になげかけられた課題として、こちらの議題がありました。

「WEBサイトを活用する」という視点

 勉強会は、会員企業の事例発表(講演)、講演者が参加者に課題をなげかけてのチームごとのディスカッションそして代表者による発表、最後に私(石田)からの総評という形でおこないました。こちらの勉強会は「積極的にWEBに取り組んでいる」会社が多いわけではないので、専門家である私が総評担当になっているのです。

 議題の「大型施設からの注文をWEBサイトでいかに獲得するか」について、各チームからさまざまな意見が出ました。「現状、獲得できている大型施設は、なぜ注文をくれているのかを分析するのがよいのではないか」。「大型施設をターゲットにすると大手企業が競争相手になるので、対象を変えた方がいいのではないか」。「ならば、大手企業の手か届かない、きめ細やかなサービスを強化するべきでないか」。「思い切って、高級路線に商品企画をふってしまうのはどうだろうか」。

 若干、「WEBサイトで」という条件を適えるにはもうひと言必要な意見が多かったものの、マーケティング的にはいずれも正解だと思いました。ただ「WEBサイトを活用して」という話であれば、もうひとつの視点が欲しいと感じます。

いかにして「見つけてもらうか」

 データ分析、ターゲット選定、サービス強化、商品企画、いずれもマーケティングで大切なポイントです。ここは問題ありません。ただWEBサイトを活用するとしたら、もうひとつの視点が必要になります。いかにして「見つけてもらうか」です。

 つまり、今回の対象になっている「大型施設」の担当者の方が、「どのようなタイミングでどのようなことをどうやって探すのか」これを考えるのがWEB活用を実現するセオリーだということです。逆にこのポイントを外して提案内容を考えるのはもったいないことです。もちろんECにおいても一緒です。

 今回、事例を発表した会員企業さんは「お弁当屋さん」でした。大型施設からのまとまった注文が入れば売上増そして事業拡大が望めます。実際は大型施設には大手企業の競合が入り込んでいる状況ですから、ひっくり返すのは簡単ではないようです。しかし、もしも大手企業の競合がそこまでWEBに取り組めていないのならば、インターネットという「空中戦」で勝てる可能性は十分にあります。

 実はまだまだ業界によっては「WEBサイトはあるけど、活用しきれていない」ところがたくさんあります。Google検索もパーソナライズが進んでいますから、いわゆる「SEO対策(検索対策)」についても、ある意味「先行者メリット」が薄い状態になっているわけです。

お客様はどうサービスを探すのか

 さて、大型施設の担当者の方が、「どのようなタイミングでどのようなことをどうやって探すのか」。少しイメージをしてみます。ここはおそらくさまざまな意見とアイデアが出てくるところだと思います。まず前提として既存の取引先が必ずいるでしょう。

 ひとつは、その既存の取引先のサービスに疑問を感じたタイミングで「他のサービスを探す」のではないでしょうか。では何が原因で探すかです。配送関連なのか品質関連なのか納期関連なのか、可能性を検討してみましょう。お客様が抱えた課題がイメージできると「どのようなことをどうやって探すか」に近づくことができそうです。

 もうひとつ、既存の取引先には満足しているけれども新しい付加価値を探すケース。たとえば、母の日やクリスマスには特別なお弁当を用意したい。細かいアレルギー反応をしてくれるお弁当も用意したい。こういった場合であれば、参入の余地はあるかもしれません。まずは小さな仕事から信用を積み重ねて、大きな仕事へ。のパターンです。

 「WEBサイトを活用して」を考えるとき、必ず「お客様はどうサービスを探すのか」の視点を押さえておいてください。