著者:石田 麻琴

ECマーケにおける「良い商品」の考え方とつくり方・5【no.2110】

 ECマーケにおける「良い商品」の考え方とつくり方。

 初回のコラムでは「良い商品」とは「お客様に探される商品」であることを。2回目のコラムでは「探される商品」のリサーチ方法。3回目のコラムでは「需要と供給のバランス」について。そして4回目のコラムでは「商品を発売してから判断する」考え方。これらをそれぞれ解説しました。今回はシリーズ最終回です。

「閲覧されていて、売れる」を目指す

 前回のコラムで最後に触れたのが商品データの分類についてでした。ECサイト、商品ページに一定数のセッションが流れるようになると、商品ごとの比較ができるようになります。その判断として活用したいのが、「閲覧されているか」「売れているか」の2点のポイントです。

 ECサイトの商品は「閲覧されていて、売れる」「閲覧されるが、売れない」「閲覧されないが、売れる」「閲覧されないし、売れない」の4つに分類することができます。この中で「閲覧されないし、売れない」商品は、おそらく「商品力」自体がないと予想されるので、放っておいて大丈夫です。コストになるようであれば販売を止めてしまっても構いません。

 「閲覧されていて、売れる」。新商品として発売した当初からこの状態になる商品があればベストです。この類の商品は「商品力」があり、競合に負けない「提案力」が備わっています。ネット広告やSNSを活用してどんどん露出を高めていきましょう。ただ、ほとんどの会社さんに「閲覧されていて、売れる」があるかというとそうではありません。

課題をつぶす。新商品を投下する

 「良い商品」をつくるために、大切なのは「閲覧されるが、売れない」「閲覧されないが、売れる」この2つの改善です。

 「閲覧されるが、売れない」。この商品は「お客様から探されてはいる」ということです。しかし購買には至りません。ニーズはあるのにコンバージョンしない。これは商品の機能やデザイン、もしくはその提案が競合他社に比べて劣っている可能性があります。競合の商品とページを分析し、選択動機を再検討、ページのブラッシュアップをおこないましょう。

 「閲覧されないが、売れる」。この商品は「強くお客様から探される」ことはないものの、特定のお客様に対しては訴求が強い可能性があります。もしくはECサイト自体が小規模な場合、お客様の認知に至っていない可能性があります。ただ、コンバージョンは高いわけですから、露出を高め、そのデータをみることで次の展開を予測することができます。場合によってはそのまま、「閲覧されていて、売れる」商品へのレベルアップもありえるかもしれません。

 商品もしくはページごとに「良い商品」になるための課題をつぶしていく。新商品を投入し、商品力をデータ分析していく。この2つの流れを繰り返していくのです。

良い商品からの縦展開と横展開

最後に「閲覧されていて、売れる」「良い商品」をつくった後の展開です。

 前述したように「閲覧されていて、売れる」商品には思いっきり集客を当てていきます。ネット広告でもSNSでも徹底的に集客を当て、「商品からブランド(ECサイト)を知ってもらう」ことを目指しましょう。何でもコンテンツがブランドをつくるのです。徹底的に「良い商品」を露出していきます。

 次にその「良い商品」を購入したお客様が「次に購入する商品」の企画です。ポイントになるのが縦展開と横展開。たとえば、売れ筋のショルダーバッグがあるとします。この商品を徹底的に販売すると同時に、素材を変えた高価格帯やサイズ違いの商品をつくっていく「縦展開」。同じ素材をハンドバッグや財布、小物入れなどに展開し、セット購入を訴求していく「横展開」。

 「良い商品」から展開した商品なので、ハズれるリスクは非常に少なくなります。