ECのマーケティングとはデータ活用そのものです。
そしてデジタルのビジネスもデータ活用を土台に進んでいきます。今後、世の中のデジタル化がさらに進むとすれば、リアルビジネスのほとんども「データ活用」が土台になるのは間違いありません。
ECにおいては、定期的にデータを見ることが大切です。定期的にデータを見ることで、データの変化に気づくことができます。今回のコラムは、「データの変化に気づいたら、どうするか?」です。
定期的にデータを見ることが基本
EC事業のマーケティングは、まず定期的にデータを見ることからはじまります。同じデータを同じ期間で、同じ条件で確認していくのです。ECMJコラムによく出てくる「同一期間同一条件」というやつですね。そしてデータを定期的に確認すること。この定期的とは、「日次」「週次」「月次」「クオーター」「半期」「年次」の6つの種類があります。まずは「日次」「月次」のふたつからスタートするのがおすすめです。
たとえば、検索クエリのデータです。ご存じのとおり、検索クエリのデータはGoogleが提供している無料のツールであるサーチコンソールから取得できるデータです。あなたのECサイトにアクセスしたユーザーが「何という検索キーワードを入力してアクセスしたか」を知ることができます。仮に我々ECMJだとしたら「イーコマース コンサルタント」とかですね。
このデータを定期的(たとえば月次)でウォッチし続けていると、その変化に気づくはずです。
「異常値」を発見した後の行動
検索クエリのデータであれば、いままでデータの上位にきていなかった検索キーワードが上位にくることがあります。検索クエリのデータはサイトによっては何千行も検索キーワードが並ぶ可能性があります。このすべての検索キーワードをみて「変化に気づく」ことは不可能です。頭の中で何千行というデータの比較は処理できません。基本的には、検索キーワードからのアクセスの大部分を占める上位30位までの検索キーワードを注視すれば十分です。
この上位30位までのデータに、突発的にランクインしてくる検索キーワードが現れます。いわゆる「異常値」というものです。この「異常値」を発見したとき、次にどのような行動を起こすのが良いでしょうか。
検索は課題や欲求、悩みのあらわれ
「異常値」には必ず「原因」があります。この「原因」を知ることができれば、次のEC事業の施策につながる可能性があります。特定の検索キーワードが増えたということは、そのキーワードを検索するニーズが発生したということです。この検索ニーズは、ユーザーの課題や欲求、悩みのあらわれの可能性があります。
まず、今回突発的にデータが跳ねたのか、それとも兆候があったかを知ることです。基本的に毎回上位30位をしっかり注視するならば、前回まで31位だった可能性もあります。もしも、それまで検索数が少なく、今回突発的に「異常値」が出たならば、その期間(月次なら一か月の間)に何かが起こった可能性があるのです。
たとえばメディアに取り上げられ検索ニーズが伸びた。この場合は、オンラインのニュースを調査する、SNSを調査することで原因を掴むことができます。ネット検索されるようなことはSNSでも話題になっているはずという理屈です。
「季節トレンド」を確認する
もうひとつ、データが「段階的に伸びたのか」「突発的に伸びたのか」の他に調べたいことがあります。それは前年同月のデータです。前年同月の検索クエリのデータを取得して、「異常値」の判断をするのが良さそうです。
これは突発的とみられていた「異常値」が実は毎年同じ時期に起こっている、そんな可能性があるからです。いわゆる「季節トレンド」です。毎月上位30位をしっかり見ていたとしても、見落としはあります。また、1年前のデータを忘れてしまった可能性もあります。前年同月の同じ時期でも検索ニーズが増えていないか、を調査する必要があるのです。
この前年同月のデータの確認の際、「前年同月よりも実数が増えているか」。こちらにも注目してみてください。毎年恒例の「異常値」でも、その異常性が大きく跳ねている可能性があります。