EC事業を成長させるために、インターネット広告の活用は欠かせません。できれば、ネット広告を使わずに売上が伸びれば理想です。しかし、多くのEC事業者は広告と上手に付き合う必要があります。なぜなら、最終的には「認知=売上」だからです。
ネット広告の活用の話。今回は広告掲載商品の選定から入っていきます。
どの商品を広告に掲載するか
ネット広告を活用する際、最初に考えるのは「どの商品を広告に掲載するか」です。ネット広告にはじめて取り組むECサイトで、トップページに広告のリンクを飛ばしている会社さんがあるかと思います。リアルの世界でのブランド力があるサイトでなければ、できれば避けた方が良さそうです。まずは広告を商品ページ(もしくは販促ページ)に飛ばしましょう。
さて、どの商品を広告に掲載するか。ネット広告の活用をスタートする時点で、ある程度ECサイトの運営を回しているのではないかと想定されます。広告に掲載する商品を決めるために使いたいのが、EC運営のデータです。特に、商品ページ別の販売実績データを活用していきます。
以前のECMJコラムで「商品力×提案力×集客力」という話をしました。まだ読んでいない方はぜひ過去コラムを読んでみてください。商品ページ別の販売実績データは、「商品力×提案力×集客力」のまさに「商品力×提案力」の部分にあたります。
商品ページ別の販売実績データ活用
このデータで確認したいのは、アクセスとコンバージョン率のバランスです。商品ページ別の販売実績データをみると、「アクセスがあって売れているもの」「アクセスがなくて売れているもの」「アクセスがあって売れていないもの」「アクセスがなくて売れていないもの」の4つの商品群に商品ページ(「商品力×提案力」)を分けることができます。
まず「アクセスがなくて売れていないもの」は、そもそもの商品力が強くない可能性があります。この手の商品はネット広告のメインとして掲載するのは適しません。「アクセスがなくて売れていないもの」はネット広告の掲載商品からは外しましょう。もちろん、ECサイトに置いておく分にはまったく構いません。
もし「アクセスがあって売れているもの」をすぐに見つけられるならば、その商品を広告掲載商品に選択して問題ありません。しかし多くのケースでは、「アクセスがなくて売れているもの」「アクセスがあって売れていないもの」の2パターンのいずれかを「アクセスがあって売れているもの」に育てる必要があります。この「育てる」は前回(no.2068)のコラムでも書いた改善策がポイントです。
目的は「新規顧客の獲得」
基本的には「提案力」を改善することによって「アクセスがあって売れているもの」に育てます。たとえばセット組を変えたり市場の価格にあわせたり、若干の仕様変更をおこなったりして「商品力」自体をさわることも可能です。ここは「商品力×提案力」を「市場環境に合わせる」という前提を持ちましょう。柔軟な改善と改良ができれば理想です。「ウチはこうだから」が市場標準から外れてしまうと、広告を打っても売れません。
「アクセスがあって売れているもの」。これがシンプルに広告を掲載するのに最適な商品です。なぜなら広告の目的は「新規顧客の獲得」にあるからです。ある程度お客様が購入しやすい商品でなければ広告を活用する意味がありません。そういう意味では、「アクセスがあって売れているもの」の他に条件をデータで付加できれば理想です。「かつ、リピートされるもの」「2回目購入の確率が高いもの」になります。顧客データと受注データが整備されているならば、「LTV(ライフタイムバリュー)目線」で商品を選定してみてください。