著者:石田 麻琴

人の大切な能力は「自分から話しかけること」【no.2062】

 人に一番大切な能力って、「自分から話しかけること」だと思うんですね。「自分から伝えること」「自分から発信すること」。どれも意味合いは一緒です。

どこか「待ち」の姿勢になるとき

 先日、久々にリアルのイベントに参加しました。取引先の会社さんのイベントということでご招待いただいたわけですが、初めての業界なので回りは知らない方ばかりです。イベントの合間に交流会の時間があったのですが、知り合いはほとんどいません。こういうときって、どこか「待ち」の姿勢になってしまうんですよね。知り合いがいたら、バシバシ話しかけるのですが。

 ボーっと待っていて、誰かが話しかけてくれるならばこんなに楽なことはありません。次々と名刺交換にきてくれる人がいたら、「ひとりでいる自分」に耐えずに済みます。しかし、基本的にみんなが同じことを思っているのでそんなことは起こらないんですね。みんながみんな自分から話しかけるのはどこか恥ずかしく、ひとりでスマホをいじったり、何度もトイレにいったり、仕事をしている感じでパソコンをいじったりしている。

 しかし、その行為自体が、「人と話す」状況から少しずつ遠のいているわけです。

単に自分から話しかければよかった

 学生時代、女性からよく見られたくて服装や髪型に気をつかったり、アクセサリーを身に着けたりしていました。いまではいいスーツを着たり、いい車に乗ったり、どこか「人から良く見られたい」という気持ちがあります。学生時代はそれがより直接的で、「女性に話しかけられたい」が目的でした。本当にアホな話ですが。

 私は私立の中学だったので、中学一年のときから電車通学です。毎朝、同じくらいの電車に乗る女性がいました。気にされたい。話しかけられたい。見られたい。その気持ちで服装や髪型に気をつけ続け、結局そのまま中学高校の6年間過ぎていきました。当たり前ですよね。見ず知らずの人に自分から話しかけるなんてことは、簡単なことでなはないのです。(もちろん、私がハナから相手にされていなかった可能性もたっぷりあります)

 いま振り返れば解決策はひとつだけでした。自分から話しかければよかったのです。時間やお金をかけて自分を飾るのではなく、単純に自分から話しかければよかっただけなのです。

「自分からいく」以上の能力はない

 イベントの交流会の話から、学生時代の恋愛的な話まで、少し飛躍しました。でも、こういったことは人生において様々なケースで散見されるのではないでしょうか。「自分からいく」。それができれば、様々なことが解決するのです。「自分からいく」ことに抵抗があるあまりに、円の中心ではなく円周を埋めるような対策ばかりをしてしまうのです。本当にするべきなのは、円の中心を徹底して攻めることなのに、です。

 さあ、問題は「待ち」の姿勢から、「自分からいく」姿勢に自分を変えられるかです。少しお酒を入れた状態で行動したり、数名の集団で緊張と責任をバラかして行動したり、状況によっては対策がありそうです。ただ、自分ひとり、素面の状況ではたしてどうやって自分を変えることができるでしょうか。

 ここは新規営業が上手な方、ナンパが得意な方などがノウハウを持っている可能性が高そうですが、人に話しかける「ひと言」を最初に決めておくことがポイントになりそうです。全員に違う言葉をかけなくていいのです。全員最初は同じ「ひと言」で良いのです。そして、話しかけることに慣れるまで「人を選ばない」こと。まずは「n数」を広げていくのが良さそうです。

 「自分からいく」これ以上の能力はありません。自分はともかく、息子には絶対に教え込みたいことです。