著者:石田 麻琴

数字を把握しながら、マーケティングの行動習慣を変える。弐【no.0098】

■「お客様がいつ、どんなタイミングで購入してくれているか」疑問を持つ

 前回のブログでは、1日の数字の流れを把握する方法として、注文メールを管理することが役立つこと。注文メールが落ちてくるのをできるだけリアルタイムで確認することによって、「お客様がいつ、どんなタイミングで購入してくれているか」に自然と疑問を持ち始めること。それを、日々の施策の中にヒントの中に探していけるかが重要であること。などなどを書きました。まずは、ぜひ、注文メールの流れを見ることを1ヵ月間継続してみてください。必ず、仕事に変化があるはずです。

 把握しておきたい1日の数字の流れ、2つ目です。其の壱で、朝出勤したら当日の0時から出勤時間までに、どれくらいの注文メールが落ちているかを数えよう、ということを書きました。出勤時間が9時なら、0時から9時までの9時間。10時なら、0時から10時までの10時間で何件の注文が入っているかを確認します。

 ポイントは、EC事業に関わるスタッフ1人1人が自分でやること、毎日毎朝のルーチンとしてやること、同じ時間にやることの3つです。担当者を決めて、その人が確認し、皆さんに報告するのではないですよ。あくまで1人1人が自分でやるからこそ、数字に強い組織が生まれます。強い組織というのは、とんでもないスタープレーヤーに依存する組織ではなく、全員のベースが高い組織ですからね。そちらを目指していきましょう。スタープレーヤーがいれば「勝てる」かもしれませんが、「勝ち続ける」ことは難しいと思います。必要なのはチーム力の向上です。

■1人1人が自ら実践することで、チーム力が向上する

 まずは、毎朝出勤の時点での注文件数を確認します。その後、あらかじめ決められた時間に、注文件数を確認するようにします。これは自分達で好きな時間に決めていただいて大丈夫です。私がネットショップをやっていたときは、出勤時間である毎朝10時にまず注文件数をチェックし、一般的なお昼休みに入る12時、夕方に入る16時、そして18時と、1日に4回のチェック時間を設定して、注文件数を確認していました。

 これも、毎日、同じ時間に、1人1人が自ら確認する習慣をつけていきます。続けていると、1ヵ月もしないうちに疑問が浮かんでくるはずです。普段の流れと比較して、やけに注文件数が多かったり、注文件数が少なかったりする日があるなと。特に、10時12時16時あたりで普段に比べての注文件数が多いことに気づいた場合は、何かしらのチャンスが埋もれている可能性があります。テレビで紹介されているとか、インターネットメディア上からリンクが貼られているとか、誰かがブログで書いてくれたとか。このあたりの外的な要因は、瞬間最大風速をいかに掴めるかがマーケティングのコツですから、1日単位での数値管理ではなくて、1日の中での数値管理が非常に重要になってくるわけです。

 続ければ、続けるほど、1日の数字の流れに対する感度が上がっていきます。毎日流れを見ているからこそ、「あれっ?いつもと違うぞ?」というように気づくことができるようになっていきます。ぜひこれも1ヵ月間で良いので続けてみてください。

■1日の中でもデータを活用し最適化を図っていく

 と、この話を過去に知人にしたところ、面白い話を聞くことができました。以前、ユニクロのマーケティングの話を書いたかと思いますが、これもユニクロが行っている数値管理の話のようです。知人の方が私(石田)に語っているイメージでお読みください。

 石田さんがおっしゃっていること良くわかります。これはユニクロの話なんですが、ユニクロも同じように1日の中での販売件数と売上の動きを確認しています。もちろん、過去の統計データに基づいています。例えば、夕方の17時の時点で売上が100万だったとしら、その日の着地が130万~150万というようにデータで読めるわけです。だから、17時の時点で当日の目標金額に達しないとわかったときには、その時点で次のアクションを決定することができるんですよね。

 こんな話だったと思います。1日の中の数字の流れ、日単位の数字の流れでさえきちんと追えていなく、月末月初になってはじめて改善活動の検討が始まる企業も多い中で、こんな最適化を全体で実践できているなんて‥と思った話でした。さすがです。