■ぞくぞく増えていく個人でのEコマース進出‥!
これから個人でEコマースをやられる人が間違いなく増えてきます。出店料とロイヤリティが無料になり個人での出店が可能になったヤフーショッピングもそうですし、LINEモールも個人での出品が可能です。個人間で商品のやり取りができるフリーマーケット的なECアプリはすでにけっこう出ていますし、思えばヤフオク!で昔から個人でのEコマースは可能なんですよね。これからは、もっとたくさんのマスな層の皆さんがネットショップにチャレンジしてくるようになると思います。
今までのような、本業としてネットショップを始めた人だけではなく、きちんとした本業が別にあって、その上で終業後や週末にネットショップを運営する社会人や主婦、学生の方々がたくさん増えると思いますし、それはEC業界の出店者と利用者という両面においてとてもプラスだと思います。ネットショップの出店に興味を持ってくれる人は、必ず優良な利用者になってくれると思うので。来年はこの動きがかなり加速していきそうですし、加速させていきたいですね。
とはいえ、個人の方がネットショップを出店して、なおかつ成功するのは、簡単なことではありません。まず、ここでの個人の方とは、副業でネットショップをする人を指します。そして、「成功する」という定義が曖昧なのですが、ここはネットショップの月商が30万円、利益が5万円を達成できればひとつの成功としましょう。
お客様のご注文1件あたりの単価が3000円として、月100件の販売。1日あたり約3件の発送。月商30万円のうち、商品原価が60%だとして、仕入金額を引くと12万円。出店料とロイヤリティはないですが、カード料率とアフィリエイト料率は売上比でかかることになるので合計5%として1.5万円。発送1件あたりの送料(資材費込)が500円として5万円。12万円から6.5万円を引いて、5.5万円。5万円の利益を見込むとすれば、広告費はほとんど出せませんし、売れ残りの在庫を抱えるのも怖いですよね。
■個人でのネットショップ運営は、付加価値をつけていくしかない‥!
そんな数字の話以上に、個人でのネットショップ運営と法人でのネットショップ運営を比べた場合、個人が不利なのは間違いありません。個人では仕入れのルートや商品が限られますし、大量の仕入れによるコストダウンもできません。つまり、価格競争ができません。サイトの構築も自分自身のスキルに頼らざるをえませんし、アルバイトを雇うことも経費的に苦しいですよね。当然、お金がかかる広告プロモーションができるわけでもありません。
個人がネットショップをやるとしたら、いかにしてコンセプトを尖らせて付加価値をつけて利益を上げていくか、これしかありません。現実的に、在庫保管や発送体制において大量の物量を扱うことは難しいでしょう。基本的には、ネットショップと1つ1つのアイテムに「このショップしかない」付加価値をお客様に感じてもらい、数少ない目の前にいる来店者の1人1人を地道にショップのフォロワーにしていくしかありませんよね。
それによって、できるだけ少ない物量で、できるだけ利益を確保していく。そして月商30万円、利益5万円のネットショップを作っていくということです。極端に言えば、1ヵ月の注文件数が1件、客単価が30万円、利益が5万円のネットショップを作る方が、個人でネットショップを運営する方向としては正しいということですね。
■個人が法人よりも有利な唯一のポイントとは‥!?
個人のネットショップ運営は法人のネットショップ運営に比べて不利な点が多いですが、個人で運営をする方が有利であるポイントがあります。それは何かというと、ネットショップを「続ける」ことができるということです。法人はEコマース事業を行うことで利益を上げなくてはいけません。ネットショップ専業ならば倒産しますし、母体事業がある法人ならネットショップをやめなくてはいけなくなります。きちんと本業をもっていれば、たとえ利益が出なくても「続ける」ことができると思います。
個人が副業としてネットショップを運営できるのは、すごい強みです。5年10年先を見越して、自分のネットショップを好んでくれるお客様に知ってもらうまで「続ける」ことができます。これからは丁寧に作り込まれたコンテンツの共感・共有がお客様を呼ぶ時代になります。「モノ」の提案だけではなく、「コト」の提案でお客様がネットショップを選ぶ時代になります。集客モデルの時代ではないのですから、1つ1つのコンテンツのレベルを時間をかけて着実に上げていって、目先にとらわれず「続けて」いくことが肝心だと思います。やっぱり、何事も芽が出るまで、時間が必要ですからね。