著者:石田 麻琴

自社だけで悩まず「知恵を絞っている他社」を活かす【no.1993】

 自社だけで悩まず「知恵を絞っている他社」を活かす。

 年が明けてからすぐバンバン営業のメールってくるんですね。わたしは年末年始も1日に数回はメールチェックだけおこなっていました。元旦から営業のメールをくれる業者さんがいて驚きます。いやいや、アポイントの返信とか普通はしないでしょ、みたいな。

 今年から年賀状をやめ、メールでの新年のご挨拶になった会社さんも多くありました。「あれ?この会社さんってどこで名刺交換したっけかなぁ?」と謎のメールも。メールの方がコストが安いので、ご挨拶メールの幅を少し広げられたのでしょうか。

 多くの会社さんが新年のご挨拶をしつつ、自社の昨今の動きについて紹介をしつつ。良かったら一度お話聞いてくださいよ的な営業の部分もいれつつ、みたいな感じです。それこそ大量のメールなので「まとめて既読にして、メールの振り分け」でもよかったんですが、できる限り1通1通読んでみたんですね。そうかなるほど、と思いました。

 これ、普段の営業メールを送ってくれる方にもあてはまる部分があると思います。今回のECMJコラムは営業メールを活用しようという話です。

アポイントの機会をつくるために「微妙な事例」はもってこない

 一部の企業をのぞいて、ほとんどの中小企業のテーマは売上をどうあげていくか。そして、新しいお客様をどうやって見つけてくるかです。とくに創業から間もない企業にとっては、営業活動こそが生命線です。売上をとってこないと会社自体が解体してしまう可能性すらあると思うんですね。そして、創業まもない企業は、デジタル関連の会社が多いのではないかと想像できます。

 そう考えると、営業メールで書いている内容というのは「真実」という表現はおかしいのですが、「ウソのない範囲で本当のこと」であるのはもちろん「頭をひねって推敲を重ねた内容」であったり「ここ一番のユーザー事例」であったりするわけです。これ、自社のことをかえりみて考えてもらえばわかると思います。アポイントの機会をつくるために「微妙な事例」をもってこないじゃないですか。

 どこか営業メールって「意味のないもの」というイメージがついている感があります。でも、本来はもっと玉石混交であるわけです。未来の上場企業がその中に含まれている可能性だってないわけではないと思います。ここで言いたいのは「営業メールを見ましょう」という話ではもちろんありません。「他の人が知恵を絞っておこなっている素直な行動を自社に活かそう」ということです。

「競合調査、競合対策」のシンプルな方法は「お客様」になること

 ECのマーケティングの重要なポイントのひとつに「競合調査、競合対策」があります。インターネットという市場は「比較が容易」である市場です。いかに差別性をはかるか、もしくは真っ向から戦っていくかの判断が大切になります。その「競合調査、競合対策」のシンプルな方法は「お客様」になってしまうことです。

 つまり、競合のマーケティング活動の中に、イチ顧客として身を置くことです。そうすると、どんなタイミングでどんな新作商品が発売するのか。販促企画はどのタイミングで打たれどんな手段でそれが告知されるのか。イチ顧客としての立場で体験することができます。お客様の満足のためにおこなっているので、「知恵を絞った」施策がふってきます。

 以前、コラムで書いた「オリジン弁当さんのマーケティング」もそうです。自分たちだけでマーケティングを悩むのではなく、「きちんと考えてる人」を活用する。これは決して卑怯ではありません。

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