ECのマーケティングの変化、をテーマに書いていきます。前編、後編の2回に分けてです。
メルマガがECの売上に比例していた
私がECの業界に入ったのは2005年のことで、もう15年以上前のことになります。思っていた以上に時間が経っており、少々へこみますね。日本のECの歴史は、楽天市場がスタートした1998年ごろからを指すようです。黎明期が成長期に入ったあたりでECの業界に参加することができました。
当時のECのマーケティングの主流というと、メールマガジンでした。もちろん、商品力もそうですし、画像の見せ方や伝え方のコンテンツなども重要でした。ただこと「集客」だったり「販売手法」だと、メルマガが売上を左右していたんですね。もっと具体的にいうと、メールマガジンを配信できるメールアドレス数でした。この頃は保有メルアド数を増やすための広告や販促が多かった記憶があります。
ネット広告、自社サイトの隆盛
ただ、メルマガは「お客様の手元に届くメールの数が一定数」だから効く手法です。この手法が世間に広がりすぎると効果が落ちるものなんですね。メールマガジンというマーケティング手法もだんだんと落ち着いていきます。ここで注意してもらいたいのは、けっして「廃れる」わけではないというところです。きちんと成果検証しブラッシュアップすれば、ほとんど手法が一定数は残っていきます。メールマガジンを「時代じゃないからダメ」とは一概に言えないというところですね。
メールマガジンの手法が落ち着いてきた2008年ごろ。主力のマーケティング手法になってきたのが、インターネット広告でした。楽天市場のほかにYahoo!ショッピングやAmazonなど新しい販売チャネルができてきて、いかに販売チャネルの「需要と供給」を読み、インターネット広告を活用していくかがマーケティングのキモでした。
同時期から自社サイト(独自ドメインサイト)でのECの選択肢も広がりはじめてきます。当時はショッピングモールの規制もそこまで厳しくありませんでした。自社サイトの選択理由として「出店費用と運用費用」が大きかったのだと思います。ここでもマーケティング手法として主流になったのはインターネット広告です。「Googleアドワーズ」や「リスティング広告」なんて言葉がよく聞かれるようになりました。
2010年からSNSが流行りはじめる
2011年、2012年くらいになるとECの市場の様相が変わってきます。「需要と供給」の「供給」の部分です。ショップを出店する側が爆発的に増え、「需要」がある程度頭打ちになってしまいました。「供給」ばかりが増えるものですから、インターネット広告の効果も段々と下がります。お客様が「インターネット広告」が「単なる広告である」と気づき始めたのもこの頃。実は東日本大震災がひとつの契機になっています。一般的なインターネットのリテラシーが一段あがった時期でもあります。
この時期にトレンドとして上がってきたのがSNS(ソーシャルメディア)でした。Twitterが2010年からFacebookが2012年から流行りはじめます。当然、ECのマーケティングに活用されることも大きく期待され、「Sコマース(ソーシャルコマース)」なんて言葉もできて、SNSで集客して商品を販売しよう!みたいな動きも盛んになってくるのですが、それが本当に日の目を見るのは10年かかることになるのです・・
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