「割り算の数値項目」を行動目標にしないこと。
EC担当者が日々確認しておきたい数値項目。「売上」「アクセス数(セッション数)」「受注件数」「転換率(コンバージョン率)」「客単価」の5つの項目です。
割り算の数値項目には「分母」と「分子」がある
この5つの数値項目はその性質上、2つに分類することができます。「売上」「アクセス数(セッション数)」「受注件数」の3つ。「転換率(コンバージョン率)」「客単価」の2つです。この2つの分類理由ってピンときますかね。前者が「積み重ねの数値項目」、後者が「割り算の数値項目」ですよね。
数値項目として日々確認し、自分たちのマーケティング活動の成果検証をする。その際に、ちょっと気をつけたいのが後者の「割り算の数値項目」です。
計算式にすると、「転換率(コンバージョン率)」は「受注件数÷アクセス数(セッション数)」で計算されます。「客単価」は「売上÷受注件数」です。割り算で計算される数値項目の特徴は、「高ければ数値として良い。低ければ数値として良くない」と一概に言えないことなんですよね。なぜなら、割り算で計算される数値項目には「分母」と「分子」があるからです。
たとえば「転換率(コンバージョン率)」。転換率を語るセミナーでは、「転換率が下がった!」をアピールするものはありません。基本的に「転換率が上がった!」ことをアピールするものです。ですから「転換率は上がると良いもの」というイメージがあるのですが、「転換率が上がる」ことはふたつのパターンがあります。「分子」の値が大きくなることと、「分母」の値が小さくなることです。
アクセス数が増えれば転換率は下がるのが当然
転換率の計算方法は「受注件数÷アクセス数(セッション数)」です。「分子」の値は受注件数です。「分母」のアクセス数が一定で「分子」の受注件数が増えれば転換率は上がります。これはどちらかといえば良いケースです。逆に、「分母」であるアクセス数が減ることで転換率が上がるケースもあります。「分子」の受注件数が一定で「分母」のアクセス数が下がった場合、これも転換率が上がるんですね。はたして、このケースが良いと言えるのか、という話です。
一般的なECの成長として、アクセス数が増えれば転換率は下がっていきます。商品の知名度や認知度が広がり、インターネット上での露出度が高まることによって一見のお客様や「興味ないけど目についてしまった」系のお客様が増えるからなんですね。アクセス数の伸びに対して受注件数の伸びは比例しません。ただそれでもトータルの受注件数と売上は伸びていきます。アクセス数は伸びるため、転換率はガンガン下がっていく、という現象がおきます。
EC全体からすると転換率が下がるのは健全
転換率という数値項目を単体でみると下がることは「良くないこと」です。しかし、EC全体からすると転換率が下がることは「健全なこと」なのです。これが「割り算の数値項目」の難しいところです。「数値が上がって本当に良かったのか。下がって本当に悪かったのか」その内訳をきちんと見なければ判断ができないんですね。
「転換率」という割り算の数値項目を「行動目標」にするのは間違っているわけです。といっても、「ウチのサイトは転換率が低い!」と評価し、目標化にしている会社さんも多いのが現実。「直帰率」「離脱率」も同じような捉え方をしている会社さんが多いです。みなさんがチームに周知してあげてくださいね。あまり意味ないよ、って。
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