著者:石田 麻琴

コロナ禍以降のマーケティングとデータ活用の現実的な進捗【no.1860】

 先日、某大手企業の社内勉強会に登壇させていただきました。この勉強会は毎年夏に開催されており、私(石田)は3年連続で登壇させていただいています。テーマとしては「データ活用動向」。主にデータのマーケティング活用のコロナ禍以降の現実的な進捗、ということで話をさせてもらいました。

 今回のECMJコラムは、この勉強会の内容について。

 勉強会でお話したのは3つの視点。「アフターコロナの市場変化」「ウィズコロナの市場環境の現状」「ポストコロナの今後の市場環境予測」の3つのポイントです。コロナ禍以降の市場をあらわしている、「アフターコロナ/ウィズコロナ/ポストコロナ」という3つのキーワードをそれぞれに使ってみました。

 まずは「アフターコロナの市場変化」。今年3月に新型コロナウィルスの問題が発生してから、ビジネスの環境は激変しました。コロナ後ということで「アフターコロナ」という言葉を使っています。我々が経験した変化として、「ビジネス業務のリモートワーク化」「会議のオンライン化」「お客様への訪問がしづらくなったこと」「オンラインセミナーの活況」などがあげられると思います。その結果、いわゆる「インサイドセールスの必要性」が叫ばれるようになりました。

 特にインパクトが大きかったのは大手企業であり、情報漏洩に厳しくお堅い仕事の代表でもある大手都市銀行でさえもリモートワーク化したことは、よく考えれば衝撃的な出来事だったのかもしれません。ちなみに銀行は窓口業務も少なくなっており、オンラインバンキングが伸びているとのこと。理由としては「お客様が現金を触りたがらないから」らしいです。

 そして「ウィズコロナの市場環境の現状」。つまり今市場がどうなっているのか。日々変化の激しい状況なので何ともいえない部分もありますが、現状だと社内の業務をリモートワーク化・オンライン化するために整理をしている会社が多く、導入しているツールもZoomやBoxなどの管理ツールがほとんど。WEBやMAやBIなどのマーケティング系の業務ツール・分析ツールの導入、デジタル化については社内整理が落ち着いた後なのではないかという見解です。

 リモートワーク化しても「業務上不便がない」という方もいます。しかしそれは、既存のお客様とのやりとりがメインの業務であったり、コロナ前から進めているプロジェクトがメインの業務であったり、はたまた売上にあまり関わらないバックオフィス系の業務がメインであったり、という方が多いのではないでしょうか。今後、新規のプロジェクトを進める上で確実に不便が出てくるはずです。

 そういった点でいうと「ポストコロナの今後の市場環境予測」として考えられるのは、新規案件はどうやって獲得すればよいのか、というところでしょう。オンラインセミナーでリードを獲得しても、お客様と会って話をすることができないのでクロージングができないといった問題も起こり始めています。

 解決策としては「お客様から欲しいの連絡がくるように」するしかありません。お客様の側から問い合わせがくれば、クロージングは非常に楽になるはずです。そして「お客様への提案を狙い撃ちする」こと。お客様と接触する機会自体が減るわけですから、より確度の高い提案を投げかけるしかありません。前者についてはインターネットの活用、後者についてはデータの活用がポイントになってきそうです。

 これらの問題に対して組織も少しづつ動き初めています。営業がデータを活用し、マーケター化し始めている会社があります。また、社内でのDXチームを組織し、デジタルトランスフォーメーションに本格的に動き始めている会社もあります。データ活用のできる組織をいかに醸成するかが、今後の大きなテーマになってきそうです。