先月末のことなんですが、大学の先輩方と一緒にバンコクにいきました。メンバーの中にバンコクにとても詳しい方がいて、企業訪問や食事などさまざまアテンドしてくれるのですが、最終日の恒例で「射撃」にいくことになっているんですね。
*ちょっと変わった「射撃」の日本人
その射撃はバンコクの警察の練習場のようなところの中にあって、警察が射撃体験商売をやっているわけです。その担当をしているのが日本人のオジサンで、オジサンといってもたぶん私とほとんど変わらない年齢なんだと思いますが、ちょっと変わった人なんですね。
最初に「最終日の恒例」と書いたのでピンときた方もいるかもしれませんが、この射撃にくるのは二回目なんです。実は前回2年前にバンコク視察にきたときも最終日は射撃でした。で、同じようにこのオジサンが変な人だなと。
ここの射撃はいくつかプランがあって、「オートマチックが●発+ショットガンが●発で5,000バーツ」みたいな感じでまずはプランを決めます。料金はミニマム日本円2万円くらいでけっこう高いです。もっと高いと2万バーツとか、日本円で7万円とかそういうレベル。
我々にさらっとプランを決めさせると、この日本人のおじさん、自分がバンコクでどれくらい活躍しているかのプレゼンテーションに入ります。警察の仕事の他、税理士・弁護士事務所を経営していたり、空手の師範をしていたり、役者としてCMに出てたりするんですね。それぞれに名刺を作っているので、自分の紹介をしながら4-5枚名刺を渡してきます。
*このオジサンの商売上手さ
まあ大学の先輩たちとこの射撃場を後にしたときに話しているのが、「肩書が多かったり、手を広げて活躍していることをアピールする人ってだいたいダメだよね(しかもこういう人は口だけは達者)」って話で、たぶんこの日本人のオジサンもそのたぐいに入りそうな感じではあるのですが、ひとつだけ秀逸だなぁと前回きたときも感動したことがあります。
実はこの人、商売上手いのでは、と。
射撃をやったことがない人のために説明をすると、射撃って1発1発撃ってくんですね。マシンガンみたいに引き金を引き続ければ弾が出続けるみたいなのはめったにありません。今回だとオートマチックを私は30発くらい打ったと思うんですが、それをこのオジサンが動画を撮ってくれるんです。
役者をしているだけあってさすが慣れたもので、iPhoneのカメラの「スロー」の機能を使って、射撃をしているところを様々な角度から撮っていくんですね。後から動画を見返すと本当にドラマや映画のワンシーンみたいになってる。
ただ、こういう映えるシーンをスロー動画で撮るためには、拳銃を連射していた方が様になるんですね。なので、このオジサンはiPhoneを持って「私がアクションっていったら、銃を連射してくださいね」っていうんですよ。で、「アクション!!!」って言われて限りなく連射するじゃないですか、弾が切れると隣にいる現地の警察官が弾を入れ替えてくれる、そしてまた連射。
するとね。すぐ射撃が終わっちゃうんですよ。ものの3分くらいで。拳銃を渡されて「アクション!!!」。弾を入れ替えて「アクション!!!」。これを6回くらい繰り返すと射撃が終了です。本当に3分くらいで。2万円も払ったのに。「あれ、もう終わり?」っていつも撃った後に気づくんです。1発1発、バーンバーンって的を狙って丁寧に撃ちたかったなぁって。
この「動画を撮る」っていうのは、実は早く弾を消費させるためのテクニックなんじゃ?って思いませんか。この日本人のオジサン、てっきりダメな人かと思ってたんですが、商売上手、というかちょっと卑怯な気がしません?