仕事の得手不得手は資質が重要であって、資質というものは後から教えられるものではないし、資質が弱いといくら頑張っても成長につながらないので最終的には幸せではない未来が待っていることが多い、と思う。
ただ、資質というのは必ずしも「能力」を示しているわけではなくて、会社の「文化」とマッチする「資質」であることでもある。会社に入社してからきっちり学んでもらうよりも、自社の仕事にマッチする「資質」を持っている人や、自社の文化にマッチする「資質」を持っている人を採用する方が、本人も会社もはるかに成長が早い、そして楽しい。
どうしても採用の市場というのは「能力」や「経験」が年収や競争の対象になってしまっているけれども、もし「自社に合う資質」を瞬時に見極めることができたなら、採用にかかる労力やコストは通常よりもかなり下がるだろうし、本人にとっても会社にとっても幸せな将来が待っているのではないだろうか。
*消しゴムのカスをどう処理するかをみる会社
とある先輩経営者がいっていたのが「消しゴムのカスをどう処理するか」で自社に合っているか合っていないかを判断している、という基準だ。
面接にきてくれた応募者の方に簡単なアンケートを書いてもらう。鉛筆やシャーペンで書いてもらうわけだが、書き直しや修正をする際にどうしても消しゴムのカスが会議室の机の上に残る。これをどう処理しているかを見て、判断の基準にするというのだ。
この会社の基準は、「机の上の消しゴムのカスを机の端っこにまとめて置いてくれる人」もしくは「自らごみ箱の場所を聞いたり、ティッシュなどにくるめてもって帰る人」だそうだ。そしてNGは、「手で払って、消しゴムのカスを机の下に落とす人」だそうだ。
応募者の方が帰った後に、机や椅子の周りを必ずチェックするという。
*私服のファッションセンスをみる会社
これは私の前職の社長が教えてくれたことなので、私自身も癖がついていることなのだが「私服のファッションセンス」をみて自社に合っているか合っていないかを判断していた。
面接にきてくれる応募者の方には必ず私服で来社してもらう。レディースファッション系の商材を扱っていたこともあるのだが、ファッションセンスが「普通」もしくは「ちょっと良い」方に加点をしていた。実際に社内で「いまの方のファッションどうだった?」という議論がされるときもあった。
これは何を見ているかというと、センスを見ているのではなく、「他人からの目をどれくらい気にしているか」を見ていた。特徴的なファッションをしている方やファッションが個性的な方は「わたしはわたしだから」という気持ちが強く、仕事に影響が出るのではないか、という判断だった。
何名か「ちょっと個性的だけど経験ありそうだし大丈夫かな」という方を採用したが、ことごとく「わたしはわたし」の殻に入ってしまった記憶がある。いい基準なのかもしれない。
*ECMJの判断基準はものまね上手
はたしてECMJの判断基準は何かといえば、ものまねが上手か否かである。誰かのものまねをやってくれと依頼するわけではない。ある資料を渡して、それと同じ(もしくは若干テーマが異なる)資料をつくってもらうのだ。そして依頼するときに「同じ形式でつくってくださいね」と伝える。
これが面白いことに、まったく同じようにつくってくれる方もいれば、形式にちょっと自分の個性を入れてくれる方もいる。自分としては同じようにつくったつもりでも、微妙に同じようになっていないものもある。そして、その違いに本人はまったく気がついていなかったりするので興味深い。
資料の内容は時間をかけて高めていく必要はあるが、資料の形式は最初から真似ができるはずである。ECMJはそんな「ものまね上手」を見ているわけだ。