著者:石田 麻琴

インターネットマーケティングとデジタルマーケティングの定義【no.1798】

 インターネットマーケティングとデジタルマーケティングについて整理をしていきたい。ECMJコラムを読んでくれている方には、インターネットマーケティングとデジタルマーケティングの定義がいまいちピンときていない方もいるかもしれない。

*インターネットマーケティングが先におとずれた

 私が社会人になった頃、2005年頃にはデジタルマーケティングという言葉はなかった。一部ではあったのかもしれないが、まったく一般的ではなかった。「パソコンを使ってマーケティングをおこなう」という文化自体に加速がついてきた時代で、インターネットマーケティングという言葉が一般的になってきた時代だったのだと思う。もちろん、いまでも使われることがあるWEBマーケティングという言葉も一般的になってきた。

 この頃、「パソコンを使ってマーケティングをおこなう」ことはBtoCのビジネスが中心であって、BtoBのビジネスにパソコンを使うことが少なかった。どの会社もホームページ(いまのカテゴリでいうコーポレートサイト)をもち始めた時代だったけれど、そのホームページを活用して新規の取引先を増やそうだとか、資料請求を増やそうみたいな施策はあまりなかったように思う。他社に先駆けてコソコソやっていた会社はたくさんあるのだろうけれど。

*マーケティングの枠が広がり出してデジタルが生まれる

 インターネットマーケティングというのは、その言葉のとおり、「あくまでインターネット上でおこなうマーケティング」である。だから基本的にWEBサイトを活用しての集客と認知拡大、製品やサービスの提案と販売がメインになってくる。Eコマースなどはその典型で、インターネットを活用して集客活動をおこない、インターネット上でお客様に決済までしてもらうことができる。まさにインターネットマーケティングになる。

 ただ、2010年頃からデータをより活用するためのシステムやツールがトレンドになってくる。これはインターネットだけではなく、リアルの実商売でもだ。いわゆるビッグデータの流れになるのだが、そもそもインターネットマーケティングの本質は「データマーケティング」であるので、ここがデジタルマーケティングとつながってくる。

 インターネットマーケティングはインターネットを基点としたマーケティング、デジタルマーケティングはデータを基点としたマーケティングと考えるとわかりやすい。そう考えると、インターネットマーケティングという円の位置づけは、デジタルマーケティングという円の中の一部ということになる。

*インターネットからデジタルへのマーケティングシフト

 デジタルマーケティングという言葉を使うと、「?」という反応をもらうことがまだまだ多い。デジタルマーケティングという言葉は知ってはいるけれど、まだまだその定義や中身が侵透していないのだと思う。この数年のキーワードである、UI・UXやCXやDX(デジタルトランスフォーメーション)もおそらく一般的にはまったく伝わっていない。そしてこれを言葉の定義からしっかり学ぶことがメチャクチャ重要かというと、必ずしもそうとは思わない。たぶん、2020年もまた新しい言葉が出てくる。

 10年前までインターネットでしかできなかったことが、10年後のいまはリアルの世界も含め全体でできるようになっている。それはリアルとネットのデータの統合がされ始めているから。そしてそれをデジタルマーケティングという。このくらいを理解していれば十分なのではないだろうか。

 実はいま、経営者や事業責任者のための「インターネットマーケティング、デジタルマーケティングの手引き」研修を作成し、メディアさんと組んで提供することを考えている。仕方のないことだけど、世の中の変化が早く情報の取捨選択が難しい時代になっている。大切なのは「判断するための原理原則を持つこと」ではないだろうか。