著者:石田 麻琴

わかりやすいノウハウ化する。ノウハウを継続する【no.1775】

 電車で移動するときにTwitterをついついチェックするのが習慣になってしまっているのだが、最近「コレコレ!」という目からウロコの投稿があった。

@HirozawaDaiki さんの投稿で、
「今思うとユニクロは従業員への徹底凄くて、大学1年生でバイトしてた時、「客単価はカゴを持ってる人と持ってない人で大きく変わるから、お客さん全員にカゴを持ってもらいましょう」と言われ、1勤務あたり何個カゴ渡せたか記録、少ないと多いバイトの人がどの角度、どの場所で渡すか教育してくれてた。」
というものがあり(原文ママ)、「コレコレ!」と思ってしまったわけだ。

*数あるユニクロのマーケティング話

 過去にもECMJコラムでユニクロのマーケティング話についていくつか書いたことがある。ユニクロのコンサルティングをやっていた方から聞いた話や、人づてに伝聞系で聞いたような話も書いた。ユニクロの本部や、もちろん柳井社長本人に確認したわけではないので多少の着色もあるのかもしれないが、いずれも「なるほどー。ユニクロならありえるのかも」と納得できるような話だった。本当はもっとすごい話だったとしたら、すいません。いまのままでも感心しています。

 そして@HirozawaDaiki さんの投稿の上記である。@HirozawaDaiki さんは大学時代にユニクロでアルバイトをしていたようなので、僕らが普段からお世話になっているユニクロの店舗という現場のレベルがこれだというのだ。

*大きな目標を卑近なノウハウに落とし込むこと

 この投稿で「コレコレ!」と思ったのは、ひとつは「客単価はカゴを持っている人と持っていない人で大きく変わる」という卑近なノウハウに落とし込まれていること。

 小売りの商売をやっている人たちにとって、「客単価アップ」というのはひとつの重要テーマになる。売上は「客数×客単価」という計算が成り立つから、売上をアップさせるためのもっとも近道のひとつが「客単価アップ」になるわけだ。ただ、「客単価アップしよう!」と思っても、具体的なアクションに落とせないのが難しいところなのだが、ユニクロでは「カゴを持っていないお客様にカゴを持ってもらおう」という、具体的でわかりやすいノウハウに落とされている。

 「カゴを持っていないお客様にカゴを持ってもらう」というテーマならば、社会人でなくても学生(場合によっては高校生でも)十分に対応することができる。

*業務をゲームにしてやりきる。ノウハウを強化する

 もうひとつは後半の「1勤務あたり何個カゴ渡せたか記録、少ないと多いバイトの人がどの角度、どの場所で渡すか教育してくれてた」という部分。

 ここには書いていないのでやっていたかわからないし、実際はやっていたような気もするのだが、「1勤務あたり何個カゴを渡せたかレース」的なゲーミフィケーションにしているのだろうと感じた。まあ、記録をつけていたと書かれているのでそうだろう。

 数字をつけると明確に「少ないと多いバイトの人」の差がわかる。少ないアルバイトは多いアルバイトのノウハウが気になるし、もし全体としての目標があるとするならば多いアルバイトは少ないアルバイトをバックアップしていく。そしてノウハウが回転し高まっていく。ノウハウの継続や浸透のコツでもあると思うのだが、「カゴを持っていないお客様にカゴを持ってもらう」というシンプルなテーマだからこそ、ノウハウの回転が高まっていくのだろうなと思った。

 ―――「客単価はカゴを持っている人と持っていない人で大きく変わる」というデータが本部から出てきたのか、現場の社員から出てきたのか、どこから出てきたのかはわからない。もしもこれが、現場の大学生アルバイトから出ていた意見だったとしたら、ちょっと敵わないですね・・汗