著者:石田 麻琴

何かに「気づい」て「疑問に思う」。データ活用の目的は「気づく」ため【no.1752】

 何かに「気づく」こと、気づいて「疑問に思う」ことが大切なのではないかと思います。ECMJのコンサルティングは「データ活用」を軸にして推進していきますが、データを活用する目的は「気づく」ために他なりません。

*データを見続けると「変化に気づく」

 大切なのは、ある一時点だけのデータを見るのではなく、データを「見続ける」ことです。見続けると、「変化に気づく」ことができます。これは「継続」がないと気づくことができないことです。なぜなら「継続」をすることで、データを自然に「比較」できるようになるからです。

 たとえば、毎朝、自分の財布の中身を見てみるとします。昨日は財布の中に2万円が入っていたのに、今日財布の中をみたら1万円しかなかった。もちろんそこで「ふーん」で終わらせることもできるのですが、「財布から1万円減っている」という事実に気づくこと、また「何で1万円減ったのだろう」と疑問に思うことが大切なのです。

 といっても、前日に何にお金を使ったかを覚えていないという人は少ないでしょうから、気づくことも疑問に思うことも、そしてその原因を突き止めることも簡単かもしれません。ただ、これが長いスパンの話になったり、財布の中身ではなく「売上」などになってくると、その原因を考えるのが容易ではなくなってくるわけです。

*「気づいた変化」の原因を考える

 データを見続けるとデータの「比較」ができるようになり、データの変化に「気づく」ことができるようになります。そしてデータの変化に「疑問を持つ」ことができるようになります。この疑問は「何でデータが変化したのだろう」という疑問でしょう。この「原因」を突き止めることがデータ活用の向かいたい先です。

 前述の例から考えると、財布の中身が1万円減った「原因」は何かということです。1万円分の買い物をしたのかもしれませんし、千円ほどの買い物を10回くらいしてしまったのかもしれない、もしかしたら1万円札を1枚落としてしまったのかもしれません。お札を落とすことはあまりなさそうですが、自分自身で「なぜ1万円が減ったのか」の理由がわからなければ、少ないケースの「原因」もあるかもしれません。

 データを「比較」し、「変化」に気づき、その「原因」を考える。これだけでも十分なのですが、ビジネスでのデータ活用と考えるともう一歩の踏み込みが必要になるでしょう。つまり、「対策」を考えるということです。

*「原因」への「対策」を考え実践すれば「結果」は変わる

 自分の財布から1万円が減った原因が「昨日、同僚とちょっと高めの居酒屋にいってしまったから」だった場合、もしも「お金を減らしたくない」という目的があったならばですが、「ちょっと高めの居酒屋にいかない」という対策を考え実践することができれば、財布から1万円ほどのお金は減らないということになります。「同僚と飲みに行く回数を減らす」も対策の一つです。

 仕事の合間にコンビニエンスストアにいくと、毎回千円程度の買い物をしてしまう(余計なものも買ってしまう)という原因があるならば、仕事の合間にコンビニエンスストアに行く回数を減らしたり、コンビニエンスストアに持っていくお金を減らしたりすることで、「お金を減らさない」という目的を果たすことができるようになります。

 今回のECMJコラムでお伝えしたい話はシンプルです。「何で数字が変化したかがわかれば、どうすれば数字が変化するかがわかる」ということです。「何で財布からお金が減ったのかがわかれば、どうすれば財布からお金が減るのかがわかる」たったそれだけです。財布からお金が減った「原因」がわかれば、お金を減らさない「対策」もシンプルなのかもしれません。