先日、2017-2018にネットショップ道場を開催していた上越市のEC上越さんにお邪魔してきました。
ネットショップ道場については何度かECMJコラムで書いているのでご存知の方もいると思いますが、上越市さんと中小機構さんのコラボ企画。ネットショップの勉強会を月1回×10ヵ月にわたっておこなうという連続型の企画でした。そのネットショップ道場の「師範(道場なので師範)」をさせていただいたのが私だったんですね。
EC上越さんはネットショップ道場に参加してくれていたメンバーがネットショップ道場の期間後もより上越市事業者のEコマースを高められるようにと立ち上げた団体で、EC上越さんが立ち上げからの初年度を終えるということで私も定例会に参加させてもらったんですね。
定例会の内容についてはコラムで触れるところではないと思うのですが、EC上越さんのお話を聞いているときに思い出したことがあったので、今日はその話を。(前置き長い)
*SUZUKIの鈴木社長の工場チェックの話
これは故・岩佐豊氏が「岩佐豊の長時間講演」でいつもお話しされていたことです。たしかSUZUKIの鈴木社長の話で間違いなかったと思います。SUZUKIの鈴木社長の話でなかったらすいません。鈴木社長の工場チェックの話です。
SUZUKIの鈴木社長が工場をチェックしにきたときの話です。担当者と一緒に工場を隅から隅まで回るらしいんですね。入り口からチェックは始まっています。トイレとか食堂までチェックは工場の施設すべてです。で、鈴木社長が現場の方の話を聞きながら指摘をするんですね。「あそこのあの部分は変えた方がいい」とか「なぜあそこは整理整頓されていないんだ」とか「このラインの配置だと効率的じゃないよ」とか。それを隣にいる担当者はメモりながらぐるぐる一緒に回ると。
工場を隅から隅まで見回って、鈴木社長からの改善点の指摘がいくつもあって、それを担当者がメモして。じゃあ次の予定に、ということで鈴木社長は次の目的地に行ってしまうわけなのですが、鈴木社長の改善要求はここでは終わらないんですね。ここからがポイントです。
*改善前、改善後の写真を撮って必ず提出をすること
鈴木社長から改善点の指摘を受けた担当者は、改善点のメモをまずリスト化します。リストを見ながら工場内の改善のポイントに行き、指摘された部分を写真に撮ります。そして改善のリストにその写真を加えます。その後、実際に改善に手を入れる実務担当者の名前を入れます。そして、いつまでにその実務担当者が改善をおこなうのかの期日を入力します。
実際の改善が終わったら、また改善のポイントに行き改善後の写真を撮ります。リストに最後に加えられるのはこの改善後の写真です。これらをひとまとめにして鈴木社長に提出するのです。鈴木社長の工場チェックを受けるということは、この作業をすべて行うことと同義になるんですね。
*大切なのは、行動をしてはじめて「完了」とすること
SUZUKIの改善活動は、改善点指摘、リスト化、改善前撮影、実務担当者・期日の決定、改善作業、改善後撮影、そして提出、この過程を経てはじめて「完了した」と評価することができるわけです。大切なのは、アイデアを出し合ったり改善点を指摘し合ったりするだけではなく、実際の行動に結びつけ、改善の前後をきちんと提出することではないでしょうか。実務担当者と期日を決める部分、「誰がいつまでにやるか」も組織を動かすためには重要な部分なのではないかと思います。
岩佐さんが話していたのは「徹底する」ということ。もちろんこれだけが徹底すべきことではないと思いますし、組織によっていろいろなスタイルがあってしかるべきだと思います。鈴木社長のこの話も、「徹底」のあくまでひとつのカタチです。