著者:石田 麻琴

Eコマースの成功ポイント「市場感・市場性」よりも大切なモノ【no.1650】

(2018年7月のコラムです)

 Eコマースのマーケティングの成功ポイントとして4つを挙げています。

 一つ目が「市場感・市場性」。二つ目が「ネットの売り方の原理原則」。三つ目が「戦略・徹底するポイント」。そして四つ目が「運用改善・ツール・スキル・ノウハウ」。この4つ。一つ目からより重要な順番です。もちろん四つ目の「運用改善・ツール・スキル・ノウハウ」これも大切なんだけど、「市場感・市場性」がそもそもズレていたらダメだよね、って話。

*「市場感・市場性」よりも先にあるもの

 この4つのマーケティングの成功ポイントについてはセミナーや講演で毎度話させてもらっているのだけれども、「市場感・市場性」よりも大切なものがあるのではないかと考えました。それは「経営者の考え方」という表現ができるかもしれないし、「組織体制」という表現もできるかもしれない、「社内文化」という表現もできるかもしれません。

 マーケットは常に動いていて、日々新しいサービスが出ているし、お客様のニーズもみえないところで変化を続けています。それにことEコマースとか「インターネットのビジネス」って、GoogleとかAmazonのような会社や、日本だと楽天市場やYahoo!JAPANなんかの意向に成長がはげしく関わってくるわけです。自社のサービスとお客様以外にもマーケットに変化が起こる部分もあるし、どっちかというとそこに対する対処が大変だったりするわけで。

*「市場感・市場性」に合わせて自社を変えられるか

 「市場感・市場性」「ネットの売り方の原理原則」「戦略・徹底するポイント」「運用改善・ツール・スキル・ノウハウ」この4つはあくまで現状のリソースを使ってEコマースを成長させるための成功ポイントであって、先に書いたとおり本当は「変化への対応」というのが前提条件に入ります。それを「経営者の考え方」「組織体制」「社内文化」なんて表現をしました。

 国内のEコマースという市場をみたとき、いま危機感が強いのは小売りのネットショップをショッピングモールでおこなっているところではないかと思います。自社でオリジナルの商品をつくっているわけでもなく、またある程度ショッピングモールの販促やルール改正から受ける影響が強いところ。このケースのネットショップはかなり厳しい状態になっていくのではないでしょうか。まあ商材によっては問題ないジャンルもあったりするでしょうが、「これからも他社が参入」するジャンルは注意が必要。

*取り組み方を変えるのは簡単なようで簡単ではない

 市場環境が変わってきている場合、いままでおこなってきた取り組み方を否定して新しい取り組み方に変えなければいけなくなります。既存の取引先・仕入れ先だけじゃなくて新規の取引先・仕入れ先を開拓しなければいけないかもしれませんし、提案型のネットショップに変えていかなければいけないかもしれない、営業に外に出なければいけなくなるし、コンテンツをつくるためにスキルを勉強し直したりもしなければいけなくなります。

 特に一度ネットショップの売上がぐぐっと伸びて成功体験をもっている担当者の皆さんほど「また、あの状態に戻らなきゃいけないのか。でも新しいことをしても成功する保証がないのなら、いまの方法で騙し騙し続けていけばいいのではないか?」みたいな志向性になりやすかったりするんですね。やっぱり泥水をなめていた時代には戻りたくないですもんね。その気持ちはわかります。ただ、ネットショップが伸びたときの「市場感・市場性」とルールが変わりつつあるのも事実。

 皆さんの会社のEコマースはどうですか。変化に対応できる「経営者の考え方」「組織体制」「社内文化」を有しているでしょうか。中途半端にズルズル、が一番良くないですよね。どうでしょう。