著者:石田 麻琴

日本のプロバスケットボールビジネス(Bリーグ)の可能性【no.1638】

先日、プロバスケットボール・Bリーグの運営本部長である増田さんの話を聞いてきました。

私が理事を務めている協同組合の繋がりで(増田さんの方がずっと昔から関わっている)以前からお話はさせてもらっていたのですが、Bリーグの成長と可能性を体系的に伺うのは初めてだったので非常に興味深く、また気づきもありました。

今回はBリーグ、というかプロバスケットボールというビジネスの可能性について。

*バスケットボールは世界的超人気スポーツ

実は私自身も中学生時代バスケットボール部に所属していました。ド下手の補欠ですが。小学校5年生のときくらいですかね。あの「スラムダンク」が大流行しまして、バスケットボールのブームがやってきました。小学生の低学年から野球やサッカーをやってこなかった子たちには「活躍できそうなスポーツ」としても魅力的だったんですね。

ちょうど1993年なんでJリーグが開幕したころです。スラムダンクの影響でバスケットボール部員が全国で溢れかえっていたんですね。サッカーもバブっていたのですが、バスケットボールも。ただ、当時のバスケットボールは実業団のチームしかなく、スラムダンクによるバスケットボールブームは3ON3とヒップホップファッションみたいな変な方向にいってしまって、おまけに協会自体もリーグの統合を解決できなく失われた20年をここでも経験することになりました。

国内のバスケットボール競技人口は570万人。1位のサッカーが750万人でバスケは11位。しかし世界の競技人口だと4.5億人でサッカーの2.6億人を大きく引き離しています。市場はあるんですね。

*NBAのモデルとBリーグの違い

まあ世界的な市場があるといってもその需要をカバーしているのはアメリカのプロバスケットボールリーグのNBAです。過去にはマイケル・ジョーダンやコービー・ブライアント、田臥勇太選手の挑戦なんかでも有名ですね。NBAとBリーグのビジネスモデルには実は大きな違いがあります。それはスポンサー収入とチケット収入の割合、なんですね。

Bリーグの場合はチームによってはまだまだ「企業スポーツ」を抜け切れていない部分が大きく、収入の大部分をスポンサー収入でまかなっているチームが多くあります。チケット収入やグッズ収入など、ファンに近い「コンテンツ収入」の割合が小さいのが特徴です。NBAの場合はまったく逆でチケットを中心としたコンテンツ収入がスポンサー収入を上回っています。

このポイントになるのは、チケット料金(NBAのチケット料金はBリーグの数倍)と競技場(スタジアム、と呼んでいいのだろうか)の広さです。チケット収入は「チケット料金×収容人数」が最大値ですからね。ファンを増やすとともに、みんなが入れる競技場を用意しなきゃいけない。スポーツビジネスの成長過程で必ず出てくる課題だと思います。

*JリーグよりBリーグの方が参入しやすい?

バスケットボールは屋内スポーツなので季節と天候に左右されないのが魅力です。野球やサッカーは天候に左右される部分があり、チケット収入に影響を及ぼしますがバスケットボールにはそれがありません。また野球やサッカーに比べ狭いスペースでおこなうスポーツなので、運営もコンパクトにおこなうことが可能です。契約選手も12人と多くないので比較的少額でスポーツチームを持てることもポイントではないでしょうか。すでに日本中ほとんどの都道府県にBリーグのチームがありますが、とても参入しやすいプロスポーツなのかもしれません。

あと、待たれるのが世界的に活躍する選手が出てくることと、日本代表が世界で活躍すること。そのためにも東京オリンピックは絶対に出て欲しいですね。NCAAで活躍する八村塁選手に注目です。