転換率よりも「受注件数(注文件数)」の分析を頑張ろう。という話。(2018年6月のコラムです)
以前「転換率(コンバージョン率)とは何者か?」というコラムを書きました。結論として「転換率の是非を考えるのは難しい!」という話になります。難しい理由は「割り算(受注件数÷アクセス数)」で計算されるものだからなんですね。
*転換率はどういうときに上がる?
「割り算」で計算される転換率という数字が上がるのには理由があります。ひとつは分子が増えること。分母のアクセス数が一定だとして分子の受注件数が増えれば転換率は上がります。もうひとつは分母が減ること。分子の受注件数が一定だとして分母であるアクセス数が減れば転換率が上がります。
「転換率が上がった!」と思っても、後者のケースだとしたらうれしくないでしょう。仮に前者のように「受注件数が増えた」ことによって転換率が上がっていたとします。ただ実は「客単価」が下がったとすれば「転換率アップ=売上アップ」ではないわけです。
ですので、受注データを検証するとしたら「受注件数」を深くみる方が頭にスッと入ってきます。「実行数値管理表」で「アクセス数」「転換率」「客単価」の他に「受注件数(注文件数)」を入れているのはそのためです。
ここでポイントになるのは「受注件数」をどういう切り口で分析していくかです。ここはEコマースの商材やビジネスモデルによって様々な切り口があります。以下にパッと思いつく切り口を紹介します。
*商品カテゴリ別
ECMJでも「カテゴリ別販売実績管理表」の作成を推奨しています。商品カテゴリ別に年間で数字がどう推移しているのか。改善によってカテゴリ別の比率が変わったのか。などなどを検証することが大切です。
*商品単価別
商品単価別に受注件数がどう動いているかを検証する方法もあります。お客様の「客単価」や「送料無料ラインの合計金額」などを基準にします。他にも商品単価をセグメントしてみると良いかもしれません。
*アクセス数別
「商品別販売実績管理表」の考え方にも近いデータです。商品ページのアクセス数と受注件数の関係性もウォッチしていきましょう。アクセス数が少ない割に受注の多い商品があるかもしれません。
*新規別、リピート別
新規でネットショップにアクセスしたお客様から受注をいただきやすい商品。リピートのお客様から受注をいただきやすい商品。感覚値ではなくデータで把握すると次の施策が変わります。
*バイヤー担当者別
仕入れでショップを運営している場合、バイヤーさんが複数人いる場合もあります。担当者別データを分析して「どのセレクトがウケやすいか」を探すことができます。もちろん「売れてないバイヤー探し」ではありません。「ペルソナに対して、どのバイヤーさんがどの商品のセレクトが向いているのか」。これを探すためです。
*制作担当者別
こちらは仕入れ小売りのネットショップだけではありません。オリジナル商品を販売しているネットショップでも活用することができます。商品ページの制作担当者別に受注件数をセグメントして分析する方法です。こちらも「売れてない制作探し」ではありません。「ペルソナに対して、どの制作担当者がどの商品を制作するのが向いているのか」。これを探すためです。
以上、6つほど受注件数の分析セグメントを考えてみました。ぜひ自社の商材とビジネスモデルにあった分析方法を考えてみてください。
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