著者:石田 麻琴

オンラインショップは店舗の比較が簡単で商品の比較が面倒。【no.1580】

 オンラインショップは店舗の比較が簡単で商品の比較が面倒。

 ECの特徴は「オンラインショップ同士の比較」が簡単なところです。ただ「商品同士の比較」って結構面倒なんですよね。このふたつを理解するとオンラインショップの改善がすごくシンプルになる気がします。

*ECはショップ同士の比較が簡単

 ECはオンラインショップ同士の比較をすることが簡単です。インターネットっていう仮想空間には「距離」がありません。北海道で運営されているオンラインショップから沖縄で運営されているオンラインショップ、イスラエルで運営されているオンラインショップに秒で移動することができるわけです。

 これが実店舗なら、北海道から沖縄に移動するには時間とお金がかかります。イスラエルの実店舗は一生のうちだって訪れる機会がほとんどなさそうじゃないですか。たとえばこれが東京の新宿と渋谷だって実店舗の移動には早くても15分はかかります。やっぱりECは「オンラインショップ同士の比較」がめちゃくちゃ簡単なんですね。

*お客様は他のオンラインショップに簡単に移動してしまう

 逆にいうと、お客様は北海道のオンラインショップにも沖縄のオンラインショップにもイスラエルのオンラインショップにも簡単に移動するということです。特に実店舗とか卸・問屋などリアルビジネスをベースにしてきた会社さんがネットに取り組むとき、当たり前のことのように理解していても、具体的な改善策など「現場」に置き換えるとなかなか行動につなげることができない部分です。

 お客様が商品をオンラインショップで買いたいと思う。運よく自社のオンラインショップにアクセスしてくれたとします。しかし、お目当ての商品や買い方が見当たらなかったとします。そこでお客様は「こういう商品ってないですか?とか、こういう買い方はできないですか?」って問い合わせをしてくれるかというと、しない。

 なぜかというと、ECは「オンラインショップ同士の比較」が簡単だから。お客様はお目当ての商品や買い方に対応しているショップを探しにいってしまいます。だから「わからなければお客様が聞いてきてくれるはず」なんて選択肢はない。

*ECは商品同士の比較が面倒

 ECはオンラインショップ同士の比較が簡単です。でも、商品同士の比較がけっこう面倒なんですね。これを理解することも改善活動を考える上での判断になるはずです。Googleショッピングとかショッピングモールとかに「一番安い商品」を探してくる機能はあります。あれは「一番安い商品」を探しているのではなくて「一番安いオンラインショップ」を探しているので「オンラインショップ同士の比較」なんですね。

 たとえばスーパーの調味料コーナーを思い浮かべてもらえればわかりやすいと思います。同じような規格の商品や色違い形違いの商品がたくさん並んでいて「あっあれが良さそうだ!」って感覚的に商品に寄って手に取ることができると思うんですね。オンラインショップってあれができない。商品ページを1ページずつ見なきゃいけない。商品一覧のページを上から1つずつポチポチ確認しなくちゃいけない。

 まあこのあたりはお客様の側もすでによくわかっていてそれに合わせた使い方を自然にしてくれたりするんですけども、レコメンド機能やおすすめ商品機能は一定の数字が出ていますし、さあ「商品同士の比較」の面倒さをどうやって解消しましょうかね。

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