著者:石田 麻琴

データ分析をアクション(施策)に繋げるための考え方。その5【no.1562】

 データ分析をアクション(施策)に繋げるための考え方。第五回です。

*「現在のデータ」の次には「未来のデータ」が生まれる

 「成果検証」のデータ活用としてふたつのステップについて説明をすすめてきました。最初のステップは「過去のデータ」と「現在のデータ」を比較してその変化を探すこと。次のステップとして「データの変化」の原因を探すこと。「結果」の原因は、「内的要因」と「外的要因」のふたつに分けることができます。

 三つ目のステップです。このステップは未来に向かっていきます。ひとつ目のステップは過去と現在のデータの比較でした。ふたつ目のステップは過去から現在にかけて起こった原因の探索でした。三つ目は現在から未来に向かって「何をするか」を考えアクションをおこないます。

 過去と現在の比較については「データをみて、その理由(内的要因・外的要因)を考える」という流れでした。現在から未来にかけては流れが逆になります。「理由(内的要因・外的要因)を考えて実践し、データをみる」ことをおこないます。

*「未来のデータ」に対して、いかにして「原因」をつくるか

 三つ目の行動は「未来のデータ」に対して「原因」をつくる行動です。過去から現在にかけて「どんなデータが結果として生まれ、原因は何だと考えられるか」を検証して、現在から未来にかけて「どんな原因をつくれば、より良い結果が生まれる可能性があるのか」の仮説を立てるわけです。

 「原因」になるのは自分たちでコントロールすることができる「内的要因」。そしてコントロールできないが対処・対策はできる「外的要因」のふたつになります。

 「より良い結果を生む可能性がある原因」の参考になるのが、過去から現在にかけての「結果(=データ)と原因(=内的要因・外的要因)」です。「成果検証」のデータ活用では、毎回毎回新しい発想で仮説と施策を決めていきません。過去の実績から成果に「近いと思われる」仮説と施策を検討することができます。

 ここが最重要のポイントであり、「データを施策に繋げる」ための考え方です。

*四つ目のステップは「現在のデータ」と「未来のデータ」の比較

 時間が経つと「未来のデータ」があらわれます。このコラムではたとえとして、1週間分のアクセスの集計を例に出しました。「過去のデータ(=前週)」のアクセス合計が1,000。「現在のデータ(=今週)」のアクセス合計が1,500。「未来のデータ(=翌週)」のアクセス合計が1,800というようにデータが動いていきます。

 四つ目のステップはひとつ目のステップ・ふたつ目のステップと同じです。「現在のデータ」と「未来のデータ」を比較してその変化を探します。そしてその変化にどんな「内的要因」「外的要因」が影響しているかを考えるのです。

 「成果検証」のデータ活用はこのサイクルを回していくことです。このサイクルを回すことで「データと施策」を繋げていくことができます。「データ活用」というのは実は「データの収集・集計・可視化」だけではありません。仮説と施策に繋げるための「原因の整理」こそ本質なのですね。

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