著者:石田 麻琴

ショッピングモールのレストラン街、売上を最大化させるには【no.1540】

 先日自宅近くのショッピングモールに家族でいったときの話です。

*レストラン街に新しいお店ができていた、のだが・・

 近くのショッピングモールとはいえ、私が買い物にいくのは数か月に1回。妻の実家が近いので、妻が実家に泊まった際はよく行くようなのですが、私は4か月ほどぶりにそのショッピングモールに買い物にいきました。

 職業柄というかっこいいものでもないですが、つい興味本位でどんなお店が入っているのかが気になります。そのショッピングモールにはファーストフードやライトミールが集まったフードコートの他に、1店舗1店舗が独立しているレストラン街があります。

 「どんなお店があったけ」と思いながらレストラン街を歩いていると、「この店が最近できたみたいなんだよね」と指さしました。そこは洋食屋さんです。以前入っていたお店は思いだすことができませんが、何かのレストランの入れ替わりに洋食のチェーン店が入ったようでした。

*レストラン街のお店を外からジロジロとみてみると・・

 レストラン街にどんなお店があるのかと同時に気になるのは、お店にどれくらいのお客様が入っているかです。残念ながらこの新しくできた洋食屋さんにはお客様はゼロ。人気のラーメン屋さんは5組ほどで8割が埋まっています。定食屋さんやイタリアンパスタのお店は半分くらいの入りです。圧倒的にお客様が入っているのが、回転寿司。お店の外で10組近くが待っていますから、飛びぬけています。

 不思議なのは、このレストラン街に来るたびに、この回転寿司のお店だけがいつも並んでいることです。ショッピングモールに買い物に来るのは土曜日か日曜日がほとんどですから、平日がどうなのかはわかりませんが、少なくとも平日の方がレストラン街にお客様がたくさんいるということはなさそうです。

 客観的な意見からいって、この回転寿司のお店が特段に有名なお店というわけでもありません。何度か食べたことはありますが、ごく一般的な回転寿司屋さんです。ただなぜひとり勝ちの状態が続くのか。疑問を持っていました。

*売上は何で決まるか。洋食屋さんには悪いけれども・・

 ひとつ考えられることがあるとするならば、回転寿司屋さんが儲かるのか洋食屋さんが儲かるのか定食屋さんが儲かるのかは「市場」で決まるということです。土日に外食をするという多くはない機会を使うとして、それが回転寿司なのか洋食なのか定食なのか、そこには実は圧倒的な「市場」の違いがあるということなのではないか、と考えました。

 インターネットとは異なる、ショッピングモールのような「商圏のある」世界では「市場」が売上を決めます。寿司やイタリアンや中華はやはり強く、洋食(ハンバーグやエビフライ)となると市場性が弱いのかもしれません。またこのショッピングモールの回転寿司のお店が入れ食い状態にあるのは、「市場」という「需要」に対してお店という「供給」が1店舗だけであるからになります。

 そう考えるとです。このショッピングモールのレストラン街で出た空きのスペースに、今回は洋食屋さんが入ったわけですが、本来、レストラン街の売上を最大化させるためには「もう1店舗」の回転寿司(もしくは寿司)屋さんを入れるのが「(あくまで)正解に近い」選択ということになる気がするのです。

 まあ、1レストランに1カテゴリのお店しか出店できない条項があるのかもしれませんし、この回転寿司屋さんが拒否権を発動できる権利を持っているかもしれません。契約条件はあくまで謎に包まれたままで当然なのですが、このケースに限っては洋食屋さんよりも回転寿司屋さんを新しくテナントで入れた方が良かったのかもしれません。