著者:石田 麻琴

バックオフィス業務の時間の使い方が売上を決める。【no.1538】

 中小企業のEコマース事業の課題になっているのが、バックオフィス業務への時間配分の気がする。ネットショップの売上アップも課題なのだが、売上アップのためのフロントヤード業務に時間を使えていないというのが現実のケースにある。

 今日はバックオフィス業務の回し方について考えてみたい。

*バックオフィス業務とフロントヤード業務とは

 まずはネットショップのバックオフィス業務とフロントヤード業務のおさらいから。

 主にネットショップで「商品を売る前の仕事(売るための仕事)」をフロントヤード業務、「商品が売れた後の仕事」をバックオフィス業務と定義をしている。ネットショップの7つの仕事のうち、フロントヤード業務が「商品企画・商材開拓」「WEB制作」「集客」「運営」の4つ。バックオフィス業務が「受注処理・データベース管理」「物流」「カスタマーサポート」の3つ。他にもお客様からの入金管理の仕事や、取引先・仕入れ先への出金処理の仕事もある。

 中小企業のEコマースについて相談を受けると、「受注処理・データベース管理」「物流」「カスタマーサポート」のバックオフィス業務だけで1日のネットショップ運営が終わってしまっていることがよくある。また、月末や月初に売上の確定・入金出金処理だけで2日や3日を要しているケースもある。皆さんの会社のEコマース事業はどうだろうか。

*時間の使い方がネットショップの売上を決める

 Eコマース事業とは別の母体となる事業、つまり製造・メーカー事業や卸事業、実店舗事業などを元々持っている会社がネットショップに販路を拡大する場合。社内にバックオフィス業務の部門を有していることが多いので、バックオフィス業務の部門にEコマース事業用のラインを一本増やしてもらえればスムーズにフロントヤード業務に集中できる。

 ただ、中小企業の場合ははっきりとした部門がない場合も多く、ネットショップのバックオフィス業務はEコマースチーム内で完結させるというルールにしているところがほとんどの印象で、バックオフィス業務メインで1日が終わってしまうのはこのパターンが多い。

 売上アップについての相談を受けたとして、よくよく聞いてみると単に「バックオフィス業務の比重が高すぎて、フロントヤード業務に時間を使えていない」だけだったりする。時間の使い方が売上を決めているということなのだ。

*自社でできるなら自社で、早めに他社の力を借りる

 月商が0万円から50万円ほどのスタートしたばかりのネットショップならばネットショップのシステム上だけでの注文の管理が可能だが、そこを超えるとお客様の問い合わせにもいちいち調査が必要になるなど情報がこんがらがってくる。自社内でエクセルやアクセス、データベースを使って整理ができないならば、早い段階で受注管理システムをレンタルするのも手だ。月額1万円ほどからなのでそこまでの負担でもない。

 受注処理とともに時間を使うのが発送処理、つまり「物流」ということになる。月商200万円を超えれば1日15件程の出荷なのでアルバイトさんが必要になるし、月商700万円を超えると1日50件程の出荷になり物流のアウトソーシングを検討した方が良いかもしれない。在庫管理の点でも物流のアウトソーシング化は確実性が高くなる。

 カスタマーサポートはテンプレート化・スクリプト化・情報共有化がポイントだろうか。データベースが整っていないと、とにかく時間がかかるのは「お調べして折り返しお電話します」である。受注処理のデータベース化やシステムの導入を進めることで「お調べして折り返しお電話します」は確実に減る。「お調べして折り返しお電話します」が減ればスタッフのストレスも減るし、フロントヤード業務に使う時間も増えるのだ。