著者:石田 麻琴

美味しそうなデリバリーのチラシとそうでもないチラシがある理由【no.1469】

 10月の下旬に2回台風がきたじゃないですか。しかも日曜日に。最初の台風(22日?)は冷蔵庫に食べるものがあったからよかったのですが、二回目の台風(29日?)の日は夕飯を買っていなかったので、家の近く(歩いて30メートルほど)にある養老乃瀧で夕飯にしようと思ったんですね。

 そうしたらお店に入るなり「今日は予約で満席です」と。そのときはお客さん1人も入っていなかったんですが「こんな日に全席予約になるのか!」と驚いて家族3人帰ってきたわけですが、じゃあ夕飯どうしようねという話になり、出前にしようかということになりました。(ドライバーさんには申し訳ないのだが)

 妻がポスティングされているデリバリーのチラシをちょこちょこ集めていてファイルにまとめています。それを一枚一枚眺めていたのですが、あることに気が付きました。かなり写真に差があるんですよね。

 デリバリーの激戦区であるピザ系と寿司系は当然のごとく写真の質が高いのですが、最近流行り(なのかわからないが)の釜めし系もばっちり写真に力を入れていることに気が付きました。逆に「もっと写真に力入れたらいいのになー」と思ったのがファミレス系と中華料理系。特にお弁当の写真は単に弁当を上から撮ったものだけが多くて、「大手なんだからもうちょっと気をおうよ」と。

 こういうところの気配りとか、レベルの高さってやはり市場が深く関係していると思うのです。

 ピザ系、寿司系、釜めし系はデリバリーしかおこなっていない、いわば専門店です。ネットショップみたいなもので店舗は一応存在しているんだけど、お客様的には店舗が存在していないものと同じ。商品とサービスを伝えることができるのはチラシの中だけなので、改善に改善が重ねられ、工夫に工夫が重ねられてどんどん質が上がっていきます。

 ファミレス系と中華料理系の共通点は「実店舗をやりつつ、デリバリーをやっている」という点。もともとのベースは実店舗なわけなので、デリバリーはあくまで「販路拡大」の手段のひとつなんですね。こういう場合って、なぜかピザ系や寿司系や釜めし系のような、改善を重ねて工夫を凝らしたようなチラシが出てこない。驚きなのはファミレス系のチラシよりもファミレスのメニューの写真の方が美味しそうに撮れていること。だったら、メニューをそのままデリバリーのチラシにした方がいいって。

 ピザのデリバリーは競合のピザのデリバリーとだけ戦っているわけじゃないし、ファミレスのデリバリーもファミレスのデリバリーだけと戦っているわけじゃありません。お客さんはピザのチラシとお寿司のチラシと釜めしのチラシとファミレスのチラシとを見比べてどこにデリバリーをしようかと考えている。だから本来であればファミレスのチラシもピザのチラシと同じくらい写真に気を遣わなければいけないんだけれども、いまいちそこにピンときていない。

 ピザのデリバリーのチラシの例もあるんだし、これってめちゃくちゃレベルの高い話じゃなくて、ちょっと気を遣えば簡単にできちゃうことだと思うんだけども。ファミレスはピザよりも大手の会社が多いんだし、予算も取れるでしょ。売上全然変わるよ。突き抜けたファミレスのチラシ、待ってます。

 で、これってネット専業の会社と、母体のビジネスがあって「ネットを販路拡大」に活用している会社の関係とも似てると思うんですよね。市場とか競争とか生命力とかが関係してるんだと思うけど、ネット専業の会社の方がコンテンツが強い。ただ母体となるビジネスを持っている会社の方が体力もあるし利益率・在庫的にも有利なわけだから、普通に考えてネットでも勝てるんだけどね。

 ファミレスのチラシと一緒で、大切なのは「市場の水」に慣れることじゃないかな。突き抜けられるよ。

 おわり。