著者:石田 麻琴

市場分析と競合分析を強化して、変化の対応に強くなろう。4【no.1451】

 市場分析に続いて競合分析について考えていきたいと思います、の第四回です。

 リアルの世界で知名度やブランド性がある会社がネットショップを始める場合、もしかしたらA社やB社からのスタートになるかもしれませんが、ほとんどの会社にとってA社B社C社D社E社の次、先行者のお尻からネットショップのマーケティングを初めていくことになります。

*専門性、「違い」を探す。

 A社B社C社D社E社。競合他社のネットショップを分析することで探したいのは、同じジャンル・カテゴリの市場において、どこに「違い」を持てるかということです。自社よりも先行してマーケティングを展開しているA社B社C社D社E社には価格競争や仕入れ、ページの制作ノウハウなどで勝つことができないケースがほとんどです。

 まずは「違い」を探すこと。A社B社C社D社E社それぞれが多少お客様のニーズに応えられているが「専門性」までは発揮できていない部分を探しましょう。特定のニーズであればA社B社C社D社E社ではなく「自社を選ぶ」という状況をつくりたいのです。A社B社C社D社E社から専門性のある部分の売上を少しずつもらっていきます。

*売上の軸、導線の軸になっている商品を探し、叩く

 専門性、「違い」を出しお客様がついてくると、売上も専門性外の商品に波及していきます。自社のネットショップが成長すれば「A社>B社>C社>D社>自社>E社」の状態になるはずです。競合他社のネットショップとの「違い」をはっきりさせる一方、対策をおこないたいのが自社よりも低いポジションにある「E社」を叩くことです。この時点では、自社よりも相対的に小規模なネットショップになりますから、パワープレイも可能になります。

 そこで探したいのがE社の売上の軸になっている商品、導線の軸になっている商品です。お客様がE社を利用する目的になっている部分を、パワープレイで自社に引っ張ってきたいのです。あくまで経験上ですが、月商3,000万円程度までのネットショップならば売上の軸になっている商品と導線の軸になっている商品が明確にあります。ここを取られてしまうと、売上が一気に下がってしまうという商品があるのです。ここを特定して、対抗馬を用意します。

*競合ネットショップのお客様になってしまえば全てがわかる

 では、どうやって売上の軸になっている商品と導線の軸になっている商品を探すのか。ショッピングモールに出店しているネットショップであれば、店舗内のランキングやレビュー数、ショッピングモールの検索結果などから売上の軸と導線の軸はわかります。「売上の軸=導線の軸」というケースも多々あります。もうひとつ、自社サイトでも活用できる方法が「競合ネットショップのお客様」になってしまうことです。

 競合ネットショップの競合である自社のネットショップには教えたくない情報でも、お客様には教えざるを得ません。なぜなら売上が必要だからです。メルマガを読めばどんな販促をおこなっているかを教えてくれますし、サイトを見ればどの商品が値下がりしたか、どの商品を押しているかがわかります。場合によっては問い合わせをして「どの商品にしようか迷ってるんですけど」と実際に聞いてみるのも良いかもしれません。

 競合としてネットショップをみるのではなく、お客様として興味をもって競合ネットショップをみるのです。それが競合分析につながっていきます。素直な気持ちで競合ネットショップをみれば「こんな商品を販売したのか」や「この販促企画は定期的におこなっているな(だから、たぶん好評なんだろうな)」など、ネットショップ運営のヒントに気づくことができるはずです。

 つづく。