著者:石田 麻琴

「需要>供給」の状態にあるインターネット広告を探そう【no.1435】

 ECMJコラムでよく触れていることですが、Eコマース市場をマクロな視点でみると「需要<供給」の時代に入っています。ただ、ミクロな視点でみてみれば「需要>供給」はさすがに難しくても「需要=供給」というジャンルはあります。また、「需要<供給」でも供給側の競合があまり強くないジャンルもあります。まだまだ中小のネットショップでも勝てる可能性がある市場はあるわけです。

 Eコマース市場の「需要<供給」と同じような関係がインターネット広告の市場にも成り立ちます。ご存知のとおり、Eコマースにおけるインターネット広告の費用対効果は下がっていくばかりです。

 ネットショップへの導線としてもっともメジャーなインターネット広告はリスティング広告です。リスティング広告とは検索キーワードに対する連動広告。特定のキーワードで検索された場合に自社の広告を検索結果に露出させ、ユーザーのクリック毎に広告費を支払うというシステムです。広告費は入札によって行われます。基本的にはより高い金額で入札した広告ほど、ユーザーの目につく場所に露出されるわけです。

 よく考えればわかることですが、特定のキーワードにおける検索結果の順位1番目は1つだけです。もっとも高い金額で入札した1社だけが1番目に広告を露出させることができます。ではこの広告に入札する会社が100社あるのと、1,000社あるのではどちらの入札金額が高くなりやすいでしょうか。当然、後者です。競合が多ければ多いほど、広告の入札金額が高くなります。リスティング広告に限らず、インターネットを活用する事業者が増えれば増えるほど広告費は高くなっていくのですね。

 以前はネットショップにアクセスしてもらうための1クリック入札単価が30円だった。でもいまは150円を支払っている。こんなことはザラです。市場の拡大によって広告を利用する事業者が増え、相対的に費用対効果が下がっていくことになります。この理屈からいうと、インターネット広告は今後も費用対効果が下がり続けていくのか、ということになるのですが、半分正しく半分間違っているといえます。

 Eコマース事業者とすれば、より費用対効果の高いインターネット広告を探し続けなくてはいけません。もっといえば、より費用対効果の高い集客手段を探し続けなければいけないわけです。それはインターネットもリアルも問いません。

 ひとつの突破口の話です。インターネット広告は参入が早いほど費用対効果が良い可能性が高くあります。これは需要の拡大と供給の拡大のズレによって起こります。「需要>供給」というユーザーが優先して拡大しているタイミングでインターネット広告をかけることができれば最大限の費用対効果を得ることができます。

 リスティング広告やショッピングモール広告もこの時代がありました。Facebook広告も「需要>供給」のタイミングで着手した会社は美味しい状態を手にしています。今後の新しいインターネットツールの中で爆発的にユーザーが増えそうなものは何か、それを考えインターネット広告を早めに出稿してみるのもありかもしれません。

 もうひとつの突破口の話です。上記と同様、これからネットショップのアクセスを増やしたいと考えている会社が競合他社の多くがすでにおこなっているインターネット広告に挑戦しても状況を逆転できるような成果は出ません。他社がやっていない集客方法こそ、チャンスがあります。突飛なアイデアが必要なわけではありません。ひとが「手間で面倒で地味で嫌がる」集客手段に着手すれば、それは成功に近いのではないでしょうか。

 最近聞いた面白い話があります。とある食品会社のマーケティングです。宅配牛乳の会社に三顧の礼で依頼をして、宅配牛乳用のポストに自社商品のチラシを入れてもらったというのです。牛乳屋さんは毎日宅配するわけですから、配達のコストが低く済みます。また郵便ポストよりもお客様に見てもらいやすいマーケティングになるでしょう。すごいのは、わざわざ宅配牛乳の会社に交渉にいったことです。

 おわり。