著者:石田 麻琴

わかっている、理解している、知っている、というのは非常に厄介【no.1409】

 わかっている、理解している、知っている、というのが実は厄介です。

 わかっていても、理解していても、知っていても、それが行動に結びつかなければ結果につながることはありません。でも、わかっていて理解していて知っていて「常に頭の中にある状態」ですから、自分としては行動につなげているような気分になってしまっているのです。ただただ時間だけが過ぎていき、1日や1ヵ月ではなく年単位で行動が置き去りになってしまうこともあります。

 ただ、本人としては「常に頭の中にはある状態」で、その課題について片時も忘れたことはないのです。もちろん行動をする気で毎日を生きているのです。当然、いつまで経っても結果にはつながりません。

 大切なのは自分の中でのルールを変えることです。わかっている、理解している、知っている、危機感をもっている、課題の解決方法を心得ている、すべて成果としてはNGとします。いくらノウハウやスキルや知識があったとしても、それを使ってカタチにしてお客様の目の前に出さなくては成果としてNGとするのです。

 ここでのポイントは、わかっている、理解している、知っていることを「カタチにしてお客様の目の前に出す」ことができればひとつの成果として評価するということです。その先にある本当の評価である「売上になるかならないか」というところはここでは評価の対象にしません。とにかく「お客様が買える状態にする」ことが大切なのです。

 もちろん本来は「売上になるかならないか」ということが重要です。1日に1の仕事だけをして1,000万円を売り上げることができれば、1日に10の仕事をして1,000万円を売り上げるよりはるかに良いはずです。

 ただ、実績を積み重ねた一部の人間以外「1日に1の仕事だけをして1,000万円を売り上げる」を実現することは不可能です。「1日に1の仕事だけをして1,000万円を売り上げる」を狙うと、仕事を選別してしまって、結果なんの成果も生まれず時間だけが経ってしまうのが関の山です。どんどん仕事の範囲を狭めていってしまいます。ですから、まずは行動をひとつの評価にすることが大切です。

 ネットショップの仕事ならば、メールマガジンを改善する、商品ページを改善する、新しい商品を開発する、サービスのインフォメーションページを改善する、広告データを分析して配信方法を整理する、受注システムの処理項目をひとつ増やす、など様々あると思います。わかっていて、理解していて、知っていて、でも「大変長らく」行動に移していないこと、でも「自分の中では取り掛かっている気分でいること」はないでしょうか。

 わかっていること、理解していること、知っていることは、どこか「わかっている感」「理解している感」「知っている感」があり、それがどこか「成果にそこまでつながらない感」があるものです。わかっていること、理解していること、知っていることよりも今日や未来に知る「知らなかった新しいこと」の方が成果につながりそうに見えてしまいます。隣の芝生は青く見えるものです。まずはわかっていること、理解していること、知っていることをきちんと行動に移すところから始めていくのが良いのではないでしょうか。

 紹介したとおり、ひとつはルールを変えること。そして付け加えるならばECMJコラムでも何度か紹介をしている「タスクの因数分解」と「スケジュール化」が着実な前進のヒントになります。課題を着々とこなせるくらいに細切れにし、細切れにした課題にいつ取り組むのかを詳細にスケジューリングしていくのです。わかっていること、理解していること、知っていることをぜひカタチにしてください。

 おわり。