著者:石田 麻琴

赤字が怖いなら、Eコマース事業はやめた方がいい【no.0347】

 

 Eコマースで成功するためには、出血を覚悟しなければいけません。

 

「すぐに月商500万円になるならEコマース事業に取り組みたい。」

「Eコマース事業単体ですぐに黒字化したい。」

そんな経営者は、インターネットに取り組まない方が良いです。たとえ目先は赤字でも、続ける覚悟がないならば、Eコマース事業はおすすめしません。

もし、Eコマース事業をスタートして、すぐに黒字化を実現できたならば、その会社は非常にラッキーです。この場合、2パターンしかありません。

① すでにリアルの世界でブランドとしての認知があり、お客様がインターネット上で探していたパターン。

② 商品やサービス、コンセプトが突き抜けており、図らずしもホットスポットに入ってしまったパターン。

このいずれかです。

①であれば、すでにお客様が存在するわけですから、ネットショップを立ち上げた直後からお客様がやってくるのは当然です。顧客リストを流し込めば、即売上に繋がります。②が起こる可能性は、万に一つです。狙って1発で後者を実現できる天才が稀にいますが、99%の人間には無理です。ブランド力がない中小企業は、Eコマース事業をスタートした後、運用改善という試行錯誤を繰り返しながら、成長の階段を1歩1歩上っていかなければなりません。

 

実店舗とEコマースの成長は根本的に異なります。

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実店舗の成長はこのようになります。事業をスタートした時点で、ある程度の売上が立ちます。なぜかと言えば、実店舗には「商圏」があるからです。店舗がそこに存在することで、潜在顧客に自然とリーチすることができます。

 

 

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実店舗の成長曲線は、実際にはこうですね。事業スタート直後に、興味を持ったお客様が押し寄せて、売上が上がります。そして一度落ち着き、その後徐々に伸びていくという動きです。もちろん、事業の適切な運用改善を続けていくことが前提です。

 

 

ここにEコマースの成長曲線を加えます。

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Eコマースの成長曲線はこうなります。インターネットの世界に「商圏」は存在しません。ですから、ネットショップを立ち上げても、お客様がアクセスしなければ、ネットショップは存在しないことと同義です。そのため、運用改善の重要性の比重が、実店舗のビジネスに比べて高くなります。どんなお客様に、どんな商品やサービスを、どんな見せ方で提案すれば良いか、運用改善を繰り返し「成長ポイント」を探していくわけです。もちろん、事業の適切な運用改善を続けていくことが前提です。

 

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オレンジの線が損益分岐点です。当然、実店舗に比べてEコマース事業の売上は低い状態が続くので、赤字幅は大きくなります。とはいえ、実質的にはEコマース事業にかかる経費は、このフェイズでは運用スタッフの固定費がメインなので、損益分岐点も実店舗に比べて低いのが現実です。

 

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そこでよくあるのが、このパターンです。「売上が伸びないから」という理由で、Eコマースを辞めてしまいます。運用改善を辞め、ネットショップを放置した段階で、事実上Eコマース事業は終了です。実店舗、実商売をやっている方は「思ってたのと違う!」と、このパターンを歩むことがあります。「成長ポイント」はもっと先なのです。

 

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もうひとつよくあるのが、このパターンです。本来は運用改善して「成長ポイント」を探していかなけばいけないのに、それを我慢できず、広告を仕掛けて一気の成長を狙います。しかし結果として、

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こうなってしまうのがオチです。広告をかけて、一時的にブーストしたとしても、運営力がなければお客様にリピートし続けてもらうことができません。そもそも広告のノウハウもありません。結果、一瞬売上が上がるだけで、元の状態に戻ってしまいます。ここでEコマース事業が終了、というのがパターンです。

 

Eコマース事業の「成長ポイント」を見つけるためには、「続ける」しかありません。

 

Eコマース事業は、実店舗に比べてコスト面での参入障壁が低いです。しかし、事業としての「成長ポイント」にたどり着くまでに時間を要します。実店舗にかかる初期投資が、ネットショップでは「成長ポイント」を見つけるまでの「運用投資」に変わるわけです。それを十分に理解しておいてください。それでもトータルで見ると、Eコマースへの投資の方が安いと思いますが。

弊社コンサルティングの役目としては、「成長ポイント」までの距離をできるだけ縮めること、そして、曲線をできるだけ高い位置まで成長させ続けること、この2点ということになります。

1コメント

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