著者:石田 麻琴

近くに調剤薬局があったら、私は入っちゃいそう。 【no.0139】

 今日は回転寿司の話ではなく、ケンコーコムの話です。

 2月5日付けの日本経済新聞で、ケンコーコムが調剤薬局での待ち時間短縮のための新しいサイトを開設することが紹介されていた。この情報を新聞記事やソーシャルメディアでみた方も多いと思う。この調剤薬局紹介サイト「ヨヤクスリ」は、2月上旬にオープンするようだが、便利なシステムだと好評のようだ。

 まずはこのサイトについてまとめます。大衆薬のインターネット通販会社であるケンコーコム(楽天の子会社)が、調剤薬局での待ち時間短縮に繋がる新しいサービスを始める。サービスの利用者が、サイト上で調剤薬局を選び、医者で受け取った処方箋を携帯カメラで撮影すると、その画像が調剤薬局に送られる。事前に薬を用意してもらえるので、待ち時間なく薬を受け取ることができる。こんなシステム。

 2月上旬に開設される紹介サイト「ヨヤクスリ」には、首都圏の1万軒超の調剤薬局の情報が掲載されるという。都道府県は、調剤薬局の住所や電話・ファックス番号などを公開しているので、これらをもとにして6万軒の調剤薬局のデータベースの作成を目指す。ということなんだけど、日本に調剤薬局は6万軒以上あるんですね。勉強になります

 このシステム、たしかに便利なシステムだと思うんですが、実際のところ、どうなんでしょう?どれくらいのユーザーに使ってもらうことを見越して開設しているのだろうか。もちろん、少しずつユーザーを広げていくことを前提としてスタートしているのでしょうが、病院行くじゃないですか、病院で処方箋をもらうじゃないですか、首都圏であれば、病院の目の前もしくは徒歩3分圏内に調剤薬局があるじゃないですか、そしたら入っちゃわないですかね。スマホで自宅の近くの調剤薬局を検索する前に。(しかも会員登録も必要だろうし‥)

 もちろん、「ヨヤクスリ」のサービスもそのハードルは十分理解している上でのリリースだと思うし、新しいチャレンジなので否定しているわけではないです。ですが、私たちの感覚として、お医者さんに診てもらうという行為として、「病院に行ってから、調剤薬局で薬をもらうまで」でひとつが完結しているような気がします。人間の習慣というものですね。当然、調剤薬局で待つ時間もない方や、病院から調剤薬局まで距離がある方は、サービスを利用する価値はあると思います。ただ、大半は「習慣」から抜け出さないような。

 話の内容がネガティブな香りがしているので、打開策を考えました。「ヨヤクスリ」のサービスがもっと利用される方法。法律に引っかかる匂いがプンプンしますが、画像で送った処方箋を調剤薬局がつくって、自宅まで配送するサービスにしちゃえば良いのではないかと。「ヨヤクスリ」のサービスを利用するのにも、元々会員登録が必要になるでしょうから、個人の特定はできそうです。薬は薬剤師が本人もしくは代理人への手渡しで、というのがきまりでしょうが。

 あともうひとつ、「ヨヤクスリ」のサービスは、患者・調剤薬局とも利用料は無料、サイトへのアクセスによる広告掲載でのマネタイズモデルということです。先に断っておきますが、ここからも私の妄想です。患者の会員登録データ(顧客データ)と処方箋のデータ(注文データ)をデータマイニングすることによって、大衆薬の中で「どんなお客様がどんな商品を欲しがるか」をデータマーケティングできるようになります。会員登録データと処方箋のデータが合わさって、それが「顧客属性」になるということですね。

 例えば、ケンコーコムの場合であれば、今まで大衆薬を買っていた方のデータマーケティングはできていても、病院に行った方のデータは取れなかったわけです。「ヨヤクスリ」のようなサービスが、今後の医薬品のネット販売解禁に向けて、大衆薬と処方箋のデータの関連性を見出すヒントになるんじゃないかなー、というのは私の完全な想像です。そんなデータマーケティングができるなと

 あくまでケンコーコムさんと、「ヨヤクスリ」さんがそれをやろうとしてるわけじゃないと思うので、あしからず。

 おわり。