ネットショップのあるあるストーリー、「鬼切社長シリーズ」。(前回はこちら)
猪井氏(いいし)先生が「契約条件(仮)」の紙を見せたとき、鬼切社長の目に留まったのが、「出来高報酬:おにぎり水産Eコマース事業売上の30%【契約期間内は利益をシェアすること】」というところでした。
鬼切社長は言いました。
「猪井氏先生。実は私が一番気にしていたのも、この『出来高報酬』のところなんです。ちょっと30%というのは高い気がするのですが、説明していただくことはできますか?」
猪井氏先生は鬼切社長からの質問を待っていたかのようでした。
「鬼切はん。まず言うておくが、今回の猪井氏事務所としてのおにぎり水産との関わりは、コンサルティングではない。契約書の上ではコンサルティングとなるが、猪井氏事務所としておにぎり水産のインターネットマーケティングを全面バックアップできればと考えてる」
鬼切社長は猪井氏先生のいう「全面バックアップ」の意味がピンときませんでしたが、ひとまず質問はせず、猪井氏先生の話を続けて聞くことにしました。
「通常のコンサルティングでは、月に1回か2回、もしくは4回コンサルタントが訪問して、数字の変化を確認しながら、次のアクションの指導やアイデア出し、業務面のチェック、Eコマース戦略の見直しなどの打ち合わせを行っていくんじゃが、例えばな鬼切はん、もしコンサルタントとのミーティングで、ネットショップに新しいページを追加しようとなった場合、おにぎり水産のスタッフに対応できる人はおるんかな?」
鬼切社長は頭の中で社内のメンバーを見まわしてみました。売れているネットショップに使われているような写真が撮れる人や、バナー素材を作れる人はおにぎり水産にはいません。以前、ショッピングモールにネットショップを出店していたときに、ショッピングモールのシステムを触っていた静子さんも、あくまでテンプレートの内容に沿って情報を入力していただけです。鬼切社長は「HTML?難しそうですね」と、二人で話していたのを思い出しました。
そう考えると、猪井氏先生が「全面バックアップ」と言った意味が何となくわかってきた気がしました。
「社内のメンバーでは、ちょっと難しいかもしれませんね。きれいな写真を撮ったり、きれいなバナー素材を作ったりするのは。HTMLのことも、我々にはわからないですし・・」
「鬼切はん、ワシが心配しているのは正にそこなんじゃ。Eコマースの戦略、データの読み方というところがマーケティングの『本質』の部分なんじゃけども、インターネットを使ってアクションを起こすにはどうしても一定以上の『スキル』が必要になってしまうんじゃ。特に、ネットショップを運営していくにあたって、素人の壁になりやすいのが『WEBサイト制作』のスキルと『システム構築』のスキルじゃ。ここをイチから自力で学んでいくのもいいんじゃけども、何もわかっていない中で自己流を貫いていくと、まったく違う方向に進んでいってしまうことが多いわけじゃ」
鬼切社長は「なるほど」と思いました。いかに販売している商品が良い商品で、Eコマースの戦略がしっかりしていて、データを読む力(マーケティング力)が備わっていたとしても、具体的なアクションがスキルによって制限されていたら、「伸びるものも伸びない」というわけです。
「だから、『全面バックアップ』なんですね」
「だから『全面バックアップ』なんじゃ」
鬼切社長に続いて、猪井氏先生がかぶせるように言いました。
「猪井氏先生、『全面バックアップ』の意味がなんとなくわかってきたのですが、それって『運営代行』じゃないんですか?」
つづきはこちら。
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