「データをとって、毎日カイゼン」するための指標づくり。(前回はこちら)
こちらのコラムはこれまで8回の連載をしてきました。ネットショップ運営における7つの業務、「商品企画・商材開拓」「制作」「集客」「運営」「システム・DB(データベース)」「物流」「カスタマーサポート」の各々について、どのような改善指標を設定すれば良いかという提案をし、前回のまとめブログにおいて「データを取ることの意味」について説明をしました。これまでの8回が「基礎編」です。そして、ここからが「実践編」になります。
「基礎編」はネットショップ運営の各業務の担当者における改善指標の設定とその理解がポイントでした。「実践編」では、その改善指標を使いこなすためにどのようなアクションを取れば良いのか、を考えていきたいと思います。「データを分析する」だけでは成果は上がりません。大切なのは、データ分析をした後のアクションです。そして、アクション後のデータ分析です。その繰り返しによって、数字が改善されていきます。
では、最初にネットショップ運営の7つの業務の1つ目、「商品企画・商材開拓」担当者の改善プランについて考えてみましょう。「商品企画・商材開拓」担当者の改善指標として考えたのは2項目でした。「新作アイテムのヒット数、ヒット率」そして「仕入先別の販売数、売上、ヒット率」です。今回は、「新作アイテムのヒット数、ヒット率」について改善アクションを考えていきます。
*「新作アイテムのヒット数、ヒット率」の改善プラン
まずは、「新作アイテムのヒット」の定義をします。「新作アイテムのヒット」を定義する軸として有効なのは主に2つです。売上と販売数。このどちらかということになります。また、「新作アイテムのヒット」は、商品ごと商品カテゴリごとに異なってくると思います。ファッションカテゴリのネットショップであれば、カットソーとコートとジーンズの「新作アイテムのヒット」の定義は異なります。家電カテゴリのネットショップでも、テレビと洗濯機と冷蔵庫の「新作アイテムのヒット」の定義は異なるでしょう。また、テレビの中でもソニーとシャープとパナソニックというブランドごとでも「新作アイテムのヒット」の定義は異なるかもしれません。縦軸に「商品、商品カテゴリ」、横軸に「ヒット売上、ヒット販売数」を入力した管理エクセルを作成して、「新作アイテムのヒット」の定義を決めてください。
定義した「新作アイテムのヒット」に「売上」もしくは「販売数」が到達する商品を増やすため、そして「新作アイテムのヒット率」を上げるために必要なのは、蓄積された過去のデータの活用です。無限に商品を企画することができて、無限に商品を販売することができるならば、データの活用は必要ありません。しかし、現実的にただ闇雲にあらゆる商品をネットショップで発売させていくことはできません。ページ制作の問題もあれば、在庫の問題もあります。もちろん、余計な商品を出し過ぎるとネットショップとしての存在意義が少しずつズレていってしまうことも問題です。「あれ、この店って何のお店だっけ?」ということになってしまいます。
ヒット数とヒット率を上げるためのヒントになるのは、データ分析です。成果を上げるために、4つの観点からデータ分析をしてみましょう。「『当月発売の新作アイテム実績』と『前年同月の新作アイテム実績』の比較」、「『前月発売の新作アイテム実績』と『前年前月の新作アイテム実績』の比較」、「『前年前月の新作アイテム実績』と『前年同月の新作アイテム実績』の比較」、「『前年同月の施策アイテム実績』と『前年翌月の新作アイテム実績』の比較」、この4つです。「当月=2014/10」とすると、「前年同月=2013/10」「前月=2014/9」「前年前月=2013/9」「前年翌月=2013/11」ということになります。前年同月の前後のデータを確認し、前年同月を当月・前月と比較しながら「翌月」のニーズの予測を立てていくわけです。これができれば「新作アイテムのヒット数、ヒット率」の成果は確実に上がります。
つづきはこちら。