著者:石田 麻琴

優良なコンテンツだけではなく習慣化が大ヒットを生み出す。 【no.0119】

 昨年、大ヒットして、年明けからバリバリCMを打っているパズドラ(パズル&ドラゴンズ)なのですが、あれ、面白いんですよねー。時たま無性にやりたくなるんですね。アプリをダウンロードして、めちゃくちゃハマって、「うわー、これじゃ生活に支障きたすわ」と思ったときに、アプリごと削除するんですが、その「無性にやりたくなる→ダウンロードする→ハマる→アプリごと削除」の流れを、もう4回程経験しています。それほど、ハマってしまう。

 それで、この「うわー、これじゃ生活に支障きたすわ」と思う瞬間なんですけれども、それがどんな瞬間かというと、「パズドラを中心に生活を考えはじめたとき」なんですね。自分自身がこれに気づくと、その時点で即刻アプリ削除ということになります。「これは生活どころではなく、仕事にまで支障をきたすことになるぞ」と。

 パズドラをやった人はわかると思うんですが、ゲリラダンジョンという1日の限られた時間しか参加できないイベントがあるんですね。付加価値の高いアイテムが手に入れられる、みたいなイベントです。そして、ゲリラダンジョンの時間帯は、ネットで調べれば簡単にわかるんですが、その時間帯に合わせて、普段の行動を考え始めると、ほぼレッドカードですね。会社でも、ゲリラダンジョンの時間帯に入った瞬間にトイレに行って、パズドラをやっているスタッフって結構いるんじゃないかな。パズドラに生活が支配されているわけです。

 ソーシャルゲームに詳しいわけじゃないので、あくまでパズドラの例になってしまうんですが、このゲームがすごいのって、「朝起きたら体力が回復している」ことなんですよね。要点だけ説明すると、パズドラは体力がないと遊べない、課金をすれば体力は回復するが、課金をしない場合は、10分に1ずつ体力が回復するのを待つしかない、ということなんですが、寝る前に目いっぱい体力を使って遊んで、6時間くらい寝て、朝起きると、体力が回復しているんですよね。当たり前なんですが。

 これの何がすごいと思ったかというと、これによって、朝起きて、真っ先にパズドラのアプリを開くのが「習慣化」しちゃうんですよね。パズドラをダウンロードして、少しゲームに慣れてきた人はみんな思うはずなんですよ。「寝て起きたら、体力が溜まってるから遊べるじゃん」と。そして、その体力の回復具合と、ゲリラダンジョンの時間帯をチェックして、頭の中で1日のスケジュールを組むようになってしまうわけです。

 最近、使っているアプリで、毎朝必ずチェックしてしまうものなんですが、マンガボックス、これも「習慣化」させるのが非常にうまいなと感じています。使ったことがある人ならわかると思うんですが、マンガボックスは25くらいの連載マンガからなる雑誌のアプリなんですよね。毎日、4-5の連載が更新されていくので、毎朝チェックしてしまう。こちらはパズドラのような、体力回復のシステムみたいなのはないので、アプリ中心で1日のスケジュールを組んでしまうようなことはなく、生活に支障はきたさないけども。

 パズドラも、マンガボックスも、おそらく朝7:00~10:00くらいまでの利用が異常に高いでしょうね。毎朝起きたらすぐに、毎朝の出勤途中に、「習慣」として、アプリを楽しんでいるのだと思います。この、「人の習慣化」というものを、いかにして操作することができるのかが、成功のポイントなんでしょう

 当然、優良なコンテンツを持っている方が、ユーザーへの価値は高いのですが、おそらくそこは「習慣化」と根本的には結びつきません。ユーザーが仕組みを「どうやって使うか」を徹底的にイメージして、さらにズレをデータで活用して修正しながら、「いつも、必ず、そこにある」をルーチン化していくのが良いのだと思います。「優良なコンテンツ×習慣化」が大成功へのポイントなのは間違いないですが、「習慣化」についてはまだまだ掘り下げられそうな気がします。

 1日の生活の中で、夜よりも朝にルーチンの行動をしている人が多いと思うので、「習慣化」は朝が向いているのかもしれません。また、Webサイト、メールマガジン、アプリを毎朝同じ時間に更新し続けたとして、「習慣化」しやすい順としては「アプリ>Webサイト>メールマガジン」である気がしています。全くの予測ですが、サービスにいたるまでの手間として。ここらへんに詳しい方、ぜひ教えてください。