著者:石田 麻琴

レビューは本当に参考になる?のか。【no.0204】

 インターネットで商品やサービスを利用するときに、必ずレビューを調べてから選択する、という人は多いと思います。楽天市場やYahoo!ショッピングなどのショッピングモールであれば、商品レビューと店舗評価レビューが参考にできるし、インターネット上の自社ドメインサイト(EC・サービス含め)であれば、「サイト名 レビュー(評価)」とか検索すれば、すでに利用した人が、商品やサービスをどう感じたのかを事前に知ることができますよね。「サイト名 2ちゃん」みたいな調べ方もあるし。

 個人間の取引であるヤフオク!(旧Yahoo!オークション)は出店者評価・落札者評価の仕組みが古くから整っていて、楽天市場やYahoo!ショッピングが評価システムを取り入れたのは、実は後。ヤフオク!が15年くらい前からに対して、(楽天市場は覚えてないが)Yahoo!ショッピングは私が運営者をやっていた時期だから8年くらい前でしょうか。商品レビューがつけられるようになったのを覚えています。

 そんなレビューは、もはやインターネットを活用するときに欠かせない判断材料だと思うのだが、今回は逆方向を向いて、レビューって本当に参考になるの?って話です。

 まず、前提として知っておきたいのは、レビューの内容というのは基本的に、商品やサービスを利用するお客様の期待度と、実際に商品やサービスを利用したお客様の満足度の差によって生まれるものであるということ。だから、期待度が高くて満足度が低いと、レビューが荒れる可能性が高くなるし、期待度よりも満足度が高いと、レビューが良くなる可能性がある。あくまで可能性の話としてね。そして、期待度が高くて満足度も高ければ、「フツー‥」というようになるわけではなく、レビューが良くなる。期待度が低くて、満足度も低いと、これも「フツー‥」にはならず、レビューが荒れる。「こっち安いからこれでいっか」で買って、驚くほど使えなかったときとか。

 ここで厄介なのが、この「期待度」というやつ。商品やサービスを提供する側からすれば、自信を持ってお客様に提案したいわけですから、ポジティブなセールスになると思うんですね。「この商品自信ありません」なんてページに書く人はいない。だから、商品やサービスを多少誇張したような見せ方で提案します。ストーリー性をつけて売るのも、ある種の演出(もちろん事実に基づいた)みたいなところもあるでしょう。しかし、ここへの感度が、情報の受け取り側のお客様によってマチマチなんですよね。そこで、期待度がズレて、レビューがガチャガチャしていくと。かといって、セールス法を変えると商品が売れなくなる可能性もあり、ジレンマですよね。

 もうひとつ良くあるのが、対象にしているお客様がズレているパターン。たとえば、「社会人のためのマナー講座」という本に対して、「内容は全部知っていることばかりでした1」とかレビューを書いている人がいたら、レビューを書かれた本側としてはいい迷惑でしょう。「あなたは、この本の対象にしているお客様じゃないんすけど‥」という話です。ここも見せ方を工夫することで期待度を調整してカバー、といきたいところですが、Amazonの商品ページの情報スペースでは伝えきれないところですよね。立ち読みができるわけでもないし。

 ということで、レビューってめちゃくちゃ主観的なものなんです。(だからこそ、感情が詰まっていて、めちゃくちゃいいレビューが生まれるわけでもあるんですが)。レビューを参考にするためには、そのレビューを書いた人がどんな人かを見ないと意味がないってことですよね。これだけレビューを参考にする人が多いってことは、インターネットのサービス提供側があまり信用されていないという悲しい一面もあるんですが、レビューの内容によってサービスが繁栄したり、衰退したりしてるってことです。もちろん、レビューを書く側も気をつけて欲しいですし、参考にする側も「これって、本当に参考になるの?」という視点も持っておいて欲しいですね。

 では、逆方向から、前方向を向きます。

 おわり。