著者:石田 麻琴

ネットショプだけではなく、実店舗でもできる「人気(ひとけ)」のアピール。【no.0848】

 売れている感を出す。お客様に選ばれている感を出す。ネットショップを運営していく中で、お客様の不安感を期待感に変えるため、試行錯誤をされている部分です。

 お客様は不安です。また、「不安だ」と思うべきです。インターネット上の実態も会社もわからないお店からモノを買ったり、個人情報を提供したりするわけですから、100%の信用を持って利用すること自体に無理があります。

 店舗情報や会社概要、配送情報や決済情報、問い合わせ先の住所・電話番号・メールアドレス等をマジックミラーのように開示しておくことが片面だとすれば、もう片面が「売れている感を出す」「お客様に選ばれている感を出す」という「人気(ひとけ)」の部分になります。

 「人気(ひとけ)」がカバーするのは、店舗情報や会社情報でカバーされる「このお店(会社)って大丈夫なのだろうか」という不安ではありません。「自分が良い買い物の選択をしているのだろうか」という不安をカバーします。購入する商品が「欲しいか否か」だけではなく、「買い物」という体験自体をよりスペシャルなものにできるか、ということです。

 ネットショップの運営でいうと、主に以下のような取り組み方があります。

 商品の販売個数をWEBサイトに掲示し、売れ筋の商品をお客様に提案する。客観的な数字(主にランキングなど)をWEBサイトに掲示することで、お客様に人気店(人気商品)であることをアピールする。お客様からの生の声、つまりレビューを掲示することで選ばれている商品であることをアピールする。

 これらの取り組みの他にも、受注のカウンタを設置して実際にお客様が購入している情報をよりリアルタイムで発信したり、アクセスのカウンタを設置して「人気(ひとけ)」をモロにアピールしたりします。また、twitterやfacebookなどのSNSの活用も「人気(ひとけ)」をより積極的に演出することができます。

 これらは「ネットショップ」から「お客様」が見えないだけではなく、「お客様」から「お客様」も実は見えないという、ネットショップの特性から進んでいったノウハウです。

 同じように、実店舗などのリアルビジネスにおいても「人気(ひとけ)」というのはまだまだ活用の余地があります。

 リアルビジネスは「お客様」から「お客様」は見えますが、「お客様が何を選んだか」や「お客様がどんな意図を持ってその商品を選んだか」はお客様同士でコミュニケーションを取らないかぎり知ることはできません。当然、お客様同士で自然とコミュニケーションを取る機会はなかなかないでしょうから、実店舗の人間が仲介役をするのがスムーズなわけです。

 ひとつは、店舗側が「お客様が何を選んだか」や「お客様がどんな意図を持ってその商品を選んだか」、お客様から聞いた情報を別のお客様が参考にできるように発信をすること。口頭で伝えられるのは一部のお客様になりますから、店内掲示やチラシなどを用意すると良いです。

 もうひとつは、お客様とお客様がコミュニケーションを取れる機会を店舗側がつくっていくこと。これはお客様にどこまで求められているか要調査ではありますが、ニッチでコアなファンが多い商材や高単価の趣味系の商材を扱っている場合はロイヤリティが上がる可能性があります。

 ネットとリアルはマーケティングの原理が異なります。リアルの良い部分をネットに活かし、ネットの良い部分をリアルに活かすことで、ハイブリッドな仮説・実践・検証ができるようになります。そしてそれは、やってみないとわかりません。

 おわり。