著者:石田 麻琴

データサイエンティストって本当にいま必要!? 【no.0075】

■データは均等に与えられる資産であり、しかも活用は無料‥!

 前回のブログで、オムニチャネル化の本質は顧客データの統合にあり、これによって「商品主導」のマーケティングから「顧客主導」のマーケティングにシフトしていく、という話をしました。これはセブンアンドアイグループだけではない話ですよね。インターネットを介することによって、よりたくさんのデータを集めることができるようになるわけですから、「オムニチャネル」っていう流行りのキーワードみたいなレベルを乗り越えて、世の中の常識になってくると思われるのです。

 ご存じのとおり、データはどの事業者にも均等に、チャレンジしたらチャレンジしただけ与えられる重要な資産であり、しかもそれを受けることも活用することは基本的に無料という素晴らしいアイテムです。リアルビジネスの世界では取得できるデータが少なく、というより、デジタルなデータの取得ができないので手間がかかりすぎるため(コンビニエンスストアのアクセス人数だって、担当者がカチカチカウンターを使って辛抱すれば毎日取得できる!)活用がイマイチだったのですが、インターネットビジネスの世界では、誰でも簡単に様々なデータを活用することが可能です。

■データサイエンティストに仕事を依頼する前に知っておきたいこと‥!?

 もちろん、本当にデータが活用されるのはまだまだこれからだと思いますよ。だって、そもそもまずデータを読める人が少ないと思うんですよ。昨今だとデータサイエンティストという職業が「今世紀でもっともセクシーな職業」ともてはやされていますが、データを読むこと自体を特定の外部の人間に任せていること自体が本来ならおかしいわけです。というか、そもそもセクシーな職業ってなんだ?グラビアアイドルとかモデルよりも上ってことなのだろうか。

 普通に考えれば、日々のマーケティング施策を行っている人間自らがデータを読んで、次のマーケティング活動に繋げていくのが当然だと思うんだけども、データサイエンティストは「何を考えてその施策(細かい内容も含め)を選択したか」ってことまで加味して、データを評価していくのだろうか、そこらへんが謎。そうでなかったとしたら、料理をした人じゃない人が出来あがった料理を食べて評価するみたいなことでしょう。当の本人が料理を食べて、「あーあそこで塩を入れ過ぎたんだな。今度は2割減でやってみよう」とか「あーあそこで煮る時間が少し短かったんだな。5分じゃなくて7分でやってみるか」とか決めるべきなんじゃないかと。

 たぶん、今世紀中に素人でも簡単に数字が読めちゃうような仕組み、もしくは数字を読まなくても改善されていく仕組み(これはすでにある)がどんどん出て切ると思うんだけどな。まあ、データサイエンティストの話はいいとして、とにかく、データを取得できない・活用できない企業というのは、今後どんどん遅れを取っていくわけです。そして、むしろ、まだ今の段階だからこそ、オムニチャネル化だったりデータマーケティングだったり、顧客データの統合だったり、データ活用に積極的な企業は他社を先行していくと思います。

■データと同じくらい、データを読める人材が必要‥!?

 ネットショップもね。たしかに商品力なんです。つまるところ。だから、売り方なんかを考えるより、まずはどんな商品を売るかを考えた方がはるかに良いのは確かなんです。で、一見、商品の企画とかってデータが関与していないように思えるんだけども、実はメチャクチャ関与することになる。前回のブログで最後に少しだけ触れたように、「顧客主導」のデータマーケティングによって、「どんな商品を企画すれば売れるか。どのくらい在庫を抱えれば良いか」がより明確になってくる。

 全く新しい商品の企画なんてのはデータが使いづらい(なぜならデータは過去のものなので)完全なチャレンジになっちゃうんだけども、きちんとデータで土台を固めている企業と土台を固めていない企業だったら、チャレンジにかけられるリソースも格段に変わってくるってことなんですよね。だから、リアルビジネスをやっているところはネットショップの戦略を再構築していくべき。単にネットショップという位置づけではなくて、データマーケティングのための土台としての位置付けで。

 当然、その後には「データを読め」て「判断」のできるチームが必要になってくるわけです。