著者:石田 麻琴

ネットショップってシミュレーションなんです。 【no.0170】

 コンピューターって、そもそも何でできたか、聞いたことありますか?

 コンピューターって、戦争で砲撃を命中させるためにつくられたらしいんですよね。コンピューターが無い時代は、砲撃対象に対して一発目の弾を撃ってみて、「もう少し遠く、そしてもう少し右」、次の二発目の弾を撃って、「もうちょっとだけ遠く、左右はほとんど合ってる」、さらに三発目の弾を撃ってみて、「いきすぎた。少し手前、左右は合っている」、そして最後の四発目を撃って、ズドーーーン!!やっと命中!!良かったね、って話なんですけど、この方法をやっていると大きな問題があるんですね

 それは何かというと、砲撃対象に何度か弾を撃って、調整をかけているうちに、自分が弾を撃っている場所が敵にバレてしまうことなんですね。もし、敵側にすごく勘がいい人がいると、四発目にズドンと弾を命中させるまでに、こっちがやられちゃうわけです。これは困ったということで、「じゃあ、弾を撃たなくても、砲撃対象の位置が特定できる方法はないか」と考えられたのが、コンピューターだったんです。だから、コンピューターってもの自体が、そもそも「シミュレーション」をするためにできたものだったんですね

 インターネットができたときに、日本の「ミスターインターネット」と呼ばれる、慶応大学の村井純教授は、インターネットのことをこう表現したらしいんですね。「あなたは大きな森の前にいます。森の中には凶暴なライオンがいるんですが、森の中のどこにライオンがいるかはわかりません。そこで、あなたは森の中に、骨付き肉を投げ込みます。そうすると、森の中のどこかにいるライオンが骨付き肉の肉だけを食べて、骨を森の外のあなたのところに放りだします。これが、インターネットです」と。これを聞いて、当時の人達はどう思ったんでしょうかね。

 この村井教授の話、とある方から聞いた話なんですが、驚いたのは、私がいつも話している「的当てゲーム理論」と全く同じだということです。私は、イーコマース(ネットショップでもインターネットビジネスでも同じ)って、的当てゲームなんですよとお話ししています。ボールを当てる的は、暗闇の向こうにあって見えない。その暗闇の向こうにある的に向かって、ボールを投げるんです。最初はスカです。何度もスカが続きます。当然です。暗闇で的が見えないので。

 しばらくスカが続きますが、様々な方向にボールを投げることを続けていると、たまに「ボン!」と音が鳴ることがあります。決して気持ちのいい音ではないですが、とにかく音が鳴ります。的のどこかにボールが当たっている証拠です。そんな音の微妙な違いを聞き分けながら、的の真ん中にあたるように、何度も何度もボールを投げていきます。そして、的の真ん中にボールが当たると「カコーン!」ととてもいい音がなります。ゴルフでもナイスショットしたときって、すごく気持ちいい感触ですよね。あれと同じです。

 これが、イーコマースであり、ネットショップであり、インターネットビジネスなんですよね。砲撃対象のように、的が見えているわけではないので、「コレ」とは計算することはできませんが、森の中のライオンを探すように、これが「シュミレーション」ってことなんですよね。つまり、インターネットビジネスって、シミュレーションなんですよ

 ちなみに続けると、暗闇の向こうにある的の位置は、毎日少しずつずれていきます。ずれる方向は、上かもしれないし下かもしれない、右かもしれないし左かもしれない、遠くに行ってしまうこともあれば、近くに寄ってくることもあります。明日、的はどの方向に動いていくかはわかりません。でも、昨日、的がどこにあったか、今日、的がどこにあるかは、知ることができます。だから日々、ボールを投げて音を聞き分けなきゃいけないんですね。

 ここまで書けば、「的、ボール、音」、何を表現しているのかわかりましたよね?

 おわり。