私が最初にインターネットに触れたのは大学一年生のころでした。4歳年上の姉がパソコンを買ってきて、それを触らせてもらったのが最初です。
インターネットといえば、やはり「検索」。やはり「検索」なんてものが画期的でしたから、夜な夜な回線のフリータイムを待って、ネットサーフィン(死語)を楽しんでいました。当時は、インディーズの音楽にはまっていて、バンドの情報なんかを頑張って検索していた記憶があります。しかし、自分が知っている知識よりもインターネットにのっている情報の方が少なく、「なーんだ、インターネットって全然詳しくないじゃん」って思ったことも。まだまだ情報の「出し手」が足りない時代だったんですね。
時がたち、あれから15年の月日が流れました。現在のインターネットの情報量のすごさはご存じのとおりなのですが、「インターネットといえば検索」というのが少し変わり始めている気がします。
私たちの世代以上では、「インターネット=検索」が中心だったものが、「インターネット=コンテンツ」に変わってきているようです。「検索」はあくまでインターネットを楽しむための一部。「いやいや、もうすでにそうなっているでしょ!」という方もいると思います。でも、なかなか「インターネット=検索」という概念は抜けないものなのです。
もともと、タブレット端末は「知識欲を満たすためのデバイス」としてつくられたと言います。日々の生活を送りながら、気になったこと、知りたいことをタブレットを使って解決する。そんなアイテムです。それが今回のアップルの新作発表をみると、コンテンツを楽しむためのアイテムに変わっているのがわかります。テレビをみたり、映画をみたり、音楽を聞いたり、ゲームをしたり・・インターネットを活用してコンテンツを楽しむためのツールです。アップルの定額制の音楽配信やアマゾンプライムの無料動画配信サービスなど、コンテンツを軸にしたインターネットビジネスへの移行も激しくなってきています。
「インターネット×コンテンツ」が中心になると、「検索」はどこにいってしまうのでしょうか。「検索」は我々中小企業がその存在を知ってもらうためのひとつの強い手段です。インターネット上の情報が多くなりその競合性も高くなっていますが、「違い」を発信し、自社のサービスをみつけてもらうためには非常に重要な手段だと思います。
「インターネット×コンテンツ」が軸になると、人が「新しいものを知る」機会はどのようにしてつくられるのでしょうか。レコメンデーションの仕組みに頼ることになるのでしょうか、広告に頼らざるをえなくなっていくのでしょうか、レビューの持つ価値がさらに大きくなっていくのでしょうか。「誰々が言っている」という情報がより強くなっていく世の中になっていくのは間違いなさそうです。やはり「インターネットは強者の武器」です。インターネットは強者の成長を加速させていきます。
となると、「誰々が言っていたから」の「誰々」になるには果たしてどうすればいいのか?という疑問がわきます。「良いものが加速的に広がるのがインターネット」では、その「良いもの」だと気づいてもらうにはどうすればいいか、ということです。これまでは「インターネット=検索」でしたから、中小企業にとっても「検索」というのが重要なキーポイントでした。「インターネット×コンテンツ」の世の中になるとすれば、結局「糸口」はリアルにあるのではないでしょうか。
まだまだどうなるかはわかりません。「検索」がすぐになくなるということもありえません。ただ、「インターネット=検索」ではない世代の人間が、「インターネットをどう使っているか」そこだけは注意しておいたほうが良さそうです。
おわり。
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