ネットショップのあるあるストーリー、「鬼切社長シリーズ」。(前回はこちら)
「『わさび漬け笹かまぼこ』の在庫がなくなりそう!」
七海さんが友花里さんに駆け寄ってきました。
それもそのはず。雑誌で紹介されて以降、ネットショップでは毎日「わさび漬け笹かまぼこ」の注文が数十件と入ってきています。そして、今日は雑誌に紹介されてから初めての週末。いつもより多いお客様は、みんな「わさび漬け笹かまぼこ」を目的としたお客様たちです。
「七海。実は、いまお客様と少しお話ししたんだけれど、今週の頭にね、『わさび漬け笹かまぼこ』が婦人物の雑誌で紹介されたらしいの。その雑誌の発売日がネットショップのアクセス数が増えた日とぴったり合うから、きっとその雑誌の影響が大きいんだと思う。そのお客様とお話しして、いろんな気づきがあったんだけど、詳しくは後で話すね。まずは在庫の補充だね」
友花里さんはおにぎり水産の事務所に戻って、在庫を補充するための事務処理をしました。工場にある冷蔵スペースから、大量の「わさび漬け笹かまぼこ」を笹かまおにぎりの実店舗に移動させました。
「友花里。ちょっと思ったんだけどさ、今日、実店舗に来られているお客様って、『わさび漬け笹かまぼこ』を買いにきているお客様がほとんどじゃない?いまのままだと店頭に補充しても、すぐにまた補充しなくちゃいけなくなる状態だから、もう少しスペースを広くした方がいいんじゃないかなぁ」
七海さんが言いました。
「言えてる。そうした方がいいね。あとさ、さっきのお客様と話したのも元々は『わさび漬け笹かまぼこの場所はどこですか?』って聞かれたのがきっかけだったのね。もっと目立つ位置に『わさび漬け笹かまぼこ』を置いた方が、お客様にとってわかりやすいのかもしれない」
「確かに。私も、アルバイトのみんなも今日だけで何回『どこですか?』って聞かれたかわからないよ。入って正面のスペースを使おうか。事務所の人たちにも手伝ってもらって、すぐに移動させた方がいいね。午後もお客様途切れなさそうだし」
今度は七海さんがおにぎり水産の事務所に走りました。数分後、七海さんは事務所にいた数人のメンバーを引き連れて帰ってきました。その中にはなぜか休日出勤をしていた鬼切社長も含まれていました。
「なんか雑誌に紹介された影響で、『わさび漬け笹かまぼこ』が激売れしてるんだって?」
鬼切社長はうれしそうに言いました。「わさび漬け笹かまぼこ」は鬼切社長が工場に提案した企画だったのです。
「そうなんですよ。今週の頭みたいです。詳しいことはまた週の会議でお話しします。ささ、ささっと『わさび漬け笹かまぼこ』のスペースを作りましょう」
友花里さん、七海さん、鬼切社長、事務所メンバーの数人で作業をすると、5分ほどで商品の展示スペースを入れ替えることができました。実店舗の笹かまおにぎりに入店したお客様が、すぐに「わさび漬け笹かまぼこ」の存在に気付くようになりました。入店するなり「これこれ!」と手に取っています。
友花里さんと鬼切社長が、お客様が「わさび漬け笹かまぼこ」を手に取る様子をニコニコ見ていると、七海さんが言いました。
「あのさ、思ったんだけど、『わさび漬け笹かまぼこ』目当てで来店してくれたお客様が手に取ってくれてるじゃない。でも、これだと、工場見学のついでに実店舗に寄ってくれたお客様には、『わさび漬け笹かまぼこ』がなんで店頭にあるのかわからないと思うの。せっかく話題になってるんだから、工場見学のお客様にも手に取って欲しくない?」
つづきはこちら。
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