とある会社の話です。
創業して3年ほどの会社です。売上は前年対比10倍。たった3年で年商10億円を軽く突破。事業内容はいたってシンプルです。催事や地域イベントでの商品販売です。駅を歩いていたり、街を歩いていたりすると、ちょっとした出店(的なお店)があると思います。あれをやっている会社です。(若干、オブラートに包んでいます)
まさか、あのちょっとした露店で年商10億円なんてありえるのか。前年対比10倍の売上なんてありえるのか。市場・ニーズはあるのか。化石化しているビジネスじゃないのか。初めて話を聞いたとき、私もそう思いました。ただ、これは実話。なぜなら、知人が役員をやっており、その方から「本当だよ」と言われましたから。
ここからが重要な話。なぜ、それだけシンプルな業態で、これだけの急成長をしているのかという話です。先に書いたとおりシンプルな販売業ですから、先行者メリットがあるとか、システムが他の会社では真似できないとかではありません。
「理念の徹底」ということなんですね。こちらもあまりにシンプルで驚きました。
接客についてのいくらかのノウハウは確かにある。でもそれは他社が気づいていなかったり、真似できなかったりするようなレベルの話ではない。明確に違うのは、「理念の徹底」だというのです。
毎朝、社長からメールが飛んでくるらしいんですね。自分たちはなぜ売上を達成しなくてはいけないか、世の中・社会に対してどういう存在でなければいけないか。実際にメールを少しだけ見せてもらいましたが、あまりにも長い文章でした。これが毎日毎朝、必ずメールがやってくる、と。明確な違いはここだけだというんですね。
理念と目先の売上は相反します。人を騙す・・まではいかなくても、欺いたり、盛ったりして売上を立てる方法もないことはありません。正直いうと、インターネットの世界は「欺いたり、盛ったり」がはびこっている業界であるのも事実。「これがインターネットの必勝法」と堂々と宣言しているような会社もあります。
紹介した会社のように「理念の徹底」によって、ここまで早く、ここまでの成果が出る会社は稀だと思います。1万社に1社のレベルでしょう。でもやっぱり、「理念を徹底」することは大切。インターネットの戦略は、どうしても目先の売上を取るための方策に偏りがちですが、長く商売をすることを考えた場合、「理念の徹底」を最優先に置くことも必要なのではないかと思います。
インターネットの世界は、知ってもらえないとビジネスにならない世界。リアルビジネスのような立地・商圏がありませんから、知ってもらうための努力をおこなう必要があります。インターネット上のWEBサイトが半永久的に増えていく中で、露出を維持するのは簡単ではありません。どうしても、甘い誘惑に頼りたくなります。目先の売上も大事です。
Eコマースを運用していく上でのひとつの軸です。その行動をして理念が徹底できるのか、それを判断基準として、施策の取捨選択をしていくのはどうでしょうか。「お客様に知ってもらう」ための方法は様々あります。その中でも、会社の「理念」が伝わるものだけを選択していくのです。「理念の徹底」を実現するための、大切な自分ルールということになります。
売上という立ち上がりは遅いかもしれません。ただ、「理念を徹底」していれば、「理念」に共感してくれるお客様が集まってくれるはずです。また、「理念」に共感するお客様同士が、情報を地道に広げていってくれるはずです。インターネットの「ウサギとカメ」なのかもしれません。
おわり。