著者:石田 麻琴

気づいた時点で相談をしないと、ズルズルいく。【no.1068】

 もう4年ほど前のことでしょうか。ECMJのコンサルティングとして、少々苦い経験。これが今日のテーマです。

 雑貨のネットショップのコンサルティングをおこないました。ECMJという会社ができる前からのお付き合いですから、2011年の始めでしょうか。会社としての契約は、結局1年半くらい続きました。もしかしたら一般のコンサルとしては続いた方なのかもしれません。ただ、最後はECMJと先方経営者の考え方のズレによって、別れることになってしまいました。

 ネットショップチームは3人でした。隔週、私がコンサルタントとしてオフィスを訪問し、数字を見ながら「次回のミーティングまでにこれをやってみましょうよ」とか「これってなんで数字が跳ねているんですかね」とか、そういうことをやるんですね。ECMJも1年目でしたので不安定な部分もあったと思いますが、いまのコンサルティングと大きくは変わりません。

 よくあるパターンではあるのですが、ミーティングに出ている3人は基本的に仕事がやりたくありません。できるだけ仕事を少なくしようとします。私が出す宿題も、なんだかんだかわして毎回、「次回までにがんばりま~す!」という案件が出てきます。それでも、じわじわと売上は上がっていたのが不思議だったのですが、それだけ手を付けていなかったのかもしれません。

 また、これもよくあるパターンだったりするのですが、ミーティング中に経営者(社長)の文句が毎回出てきます。「社長が●●だからダメなんだ」と。私もいなしながら「社長はこう思ってるんだと思いますよ~」とフォローをしつつ、ミーティングを進めていきました。

 次第に、ネットショップチームの3人と仲良くなり、食事にも行くようになりました。年齢も近かったですから。それで、ちょっと彼ら(メンバー3人)に対して甘くなっちゃったんですね。ミーティングではっきり「この宿題やってください!」とも言えないし、経営者の文句も聞くし、みたいな状態が続きました。

 あるとき、社長からメールがきました。「石田君、なんで売上が上がらなんだ」と。私は正直にメールをしました。「売上が上がらない理由は、やらないからです」と。私が出している宿題をやらないから、売上が上がらないんです、と。社長からの返信は「なんだそんな単純な理由は」でした。ここで社長に「御社の社員は社長に対して意欲がないですよ。隔週1回だけいく私に意欲の管理は無理です」とメールしようかと思いましたが、これ以上踏み込んでも意味がないと思い、役員会での協議の上、契約を終了することにしました。

 振り返って、ネットショップの売上が上がらなかったのは彼らがやらなかったから、頑張ってやってもらおうとしていたが根本的な会社に対する意欲が低くてなんともならなかったから、それは間違いなかったと思います。でも、1つだけ私の判断はミスしていたと思うんですね。このことに気づいた時点で、社長に相談をしなきゃいけなかったんですね。

 もしかしたら社長と喧嘩になったかもしれないし、その時点で契約が終わってしまったかも知れないですが、早めに手を打っておかなければいけなかった。「損切り」という表現はズレているかもしれませんが、ネガティブなリスクには早めに対応しないといけなかった。その時の私は、それが怖くてできなかったんですね。怖かったのか、もしくはその重要性に気づいていなかっただけなのかもしれませんが。

 きちんと社長ともコミュニケーションを取っていれば、長くいい関係が築けたのではないかと思うと、本当に苦い経験です。

 おわり。