以前、とある雑誌の定期購読モニターをさせてもらう機会がありました。雑誌の会社の方から直接連絡をもらいまして、「ときたま感想をくれればいいから」ということで定期購読モニターがスタートしました。
この話をECMJ取締役で元ダイヤモンド社社長の岩佐さんにしたところ、「面白かったときだけ、面白かったです、って連絡すればいいから。面白くなかったときに、面白くありませんでした、って連絡はしなくていいから」と言われたんですね。それはなぜかというと、
「悪い部分を改善しても、雑誌の部数は伸びない」から、ということなんですね。なので、面白くなかったことの指摘は必要なく、面白かったことの指摘をすればいい、そんな話でした。
なるほど、と納得したのですが、これはネットショップでもそうですし、人間についてもいえることなのではないかと思いました。やっぱり、何事も良い部分をしっかり見て、良い部分をもっと伸ばす、良い部分をもっと活かすことが重要なのではないかなと。
たしかに改善しなくてはいけない悪い部分はあります。
ネットショップなら、決済方法や配送方法のわかりづらさ、商品画像のみづらさ、WEBサイトのレイアウトのわかりづらさなどは、お客様の側から考えたときすぐに改善をする必要があります。人間でも、決定的に相手を不快にさせてしまう癖をもっていたり、金輪際の信用を失うような人間関係をもっていたりするなら、すぐに改善は必要だと思います。
ただ、致命傷にならない程度であれば、それもひとつの個性なのかもしれません。悪いところを指摘し続けてバランスをとるよりも、やっぱり良いところを伸ばしていった方がより成果は上がるはずです。いわゆる「違い」を徹底的に尖らせていくことと同じなのではないでしょうか。
ネットショップなら売れている商品がもっと売れるにはどうすればいいかを考える。売れている商品群・商品カテゴリに商品構成を寄せていく。お客様の声・レビューで評価いただいている部分をもっともっとアピールする。そして、データやアンケートを素直に次回の商品企画や販促企画に活かしていく。これを繰り返すことで「違い」が出ていきます。
人間も良いところもあれば、悪いところもあります。露骨には伝えないけれども「この人のこういうところが良くないな」と思うこともあると思います。ネットショップよりも人間の悪いところの方が気づきやすいですし、人間の悪いところの方がネットショップの悪いところよりも遥かに気になります。ただ、悪いことの何倍も良いところを探し、評価した方が、やっぱり結果は良い方向に向かうのでしょう。
私自身、実はコンサルティングをスタートするときにもっとも気にしているのは、ミーティング参加メンバーの個性です。どんなスキルがあるのか、どんなことが得意なのか、努力・根性が軸なのか感性が軸なのか理論が軸なのか。ネットショップの販売戦略におけるセオリーはセオリーとしてあっても、実際に日々の業務をおこなっていくのはEコマースのメンバー各人です。
成果への道筋はひとつではありません。アポ電が気にならないならアポ電を軸にすればいいですし、ビジュアルにこだわりがあれば制作を軸にしたっていい。これがビジュアルにこだわりがある人にアポ電をお願いしてしまうと成果が出ず、ストレスだけが溜まる結果になってしまいます。結局、実践するのは人。メンバーをベースにした戦略づくりが大切だと思っています。
詰るところ大切なのは「突破」することです。突破は良いところを伸ばした結果でしか起こりません。
おわり。